劇場公開日 2017年10月21日

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斉木楠雄のΨ難 : インタビュー

2017年10月19日更新
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山崎賢人は“ボケの人” 「斉木楠雄のΨ難」新井浩文&福田雄一監督と明かす撮影風景

クールなイメージがある山崎賢人だが、実際は“ボケの人”なのだという。新井浩文がそう語ると、福田雄一監督は我が意を得たりとばかりにひざを打つ。当の山崎はというと、マイペースにのほほんと笑っている。「斉木楠雄のΨ難」(10月21日公開)の撮影現場が、いかに愉快であったかを物語る3ショットが実現した。(取材・文/編集部、写真/根田拓也)

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麻生周一氏の人気ギャグマンガを「勇者ヨシヒコ」「銀魂」の福田監督が実写映画化。超能力を持つ高校生・斉木楠雄(山崎)が、騒動を避けようと暮らすなかで、妄想美女・照橋心美(橋本環奈)や燃堂力(新井)ら、変人クラスメイトたちが起こす珍事に巻き込まれ続ける姿を描く。

表面上は無口かつ素朴で、ツッコミは心の中で冷静に済ませる斉木を演じ、コメディ映画初挑戦を果たした山崎。もともと福田監督の大ファンであり、あこがれの現場で爪あとを残そうと、ほとばしる意欲を携えて臨んだ結果、得たものは大きかったようだ。

山崎「現場は『こんなに楽しくていいのか』と思うくらいで、笑いをこらえるのが大変でした。楽しいものを見て幸せになるって、一番いいことじゃないですか。それをできているのが最高だし、“振り切る芝居の扉”を開けられたような気がします」

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振り切る芝居の扉という言葉に、山崎は力を込めた。劇中では照橋が斉木のあらぬ妄想をする場面が度々登場するが、そのたびに山崎は国民的人気俳優のイメージを破壊するほどの、ハチャメチャな顔芸を披露している。

新井「見ていて破壊力があったのは、はしもっちゃん(橋本)演じる照橋さんの妄想の中で、山崎くんがおバカやること。普段『スンッ』としているクールな役だから、合わせ技ですっごく面白かった。山崎くんって世間的に見たら“かっこいい人”だけど、現場やムロツヨシさんの誕生日会でのイメージで言うと、面白の人、なおかつボケの人なんです。山崎くんの真髄がこの作品は出ているし、あっち(妄想のなかでの芝居)が素に近い気がする」

山崎「クールは“普段の斉木”でやっているぶん、妄想のなかでは『せっかく福田組に来たんだから、暴れてやろう』という気持ちでした」

新井「あと全然話が違うけど(山崎主演)『ジョジョ』すっげえ良かったよ! すっげえ!!」

山崎「本当ですか! ありがとうございます!」

福田監督「マジで全然話が違う」

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一方の福田監督は、山崎のコメディセンスを象徴するエピソードを明かしてくれた。「この3人で鰻を食べに行った時。ボリュームたっぷりの鰻重を食べた後、新井くんが『近くにうまい焼き肉屋があるらしい、行きてえな』と。『今?』『なわけないでしょ』と言い合っていたら、この人(山崎)が『行きますう?』と面白い顔で言うんです」。

福田監督「2人はお腹いっぱい。だけど俺は余裕だったから、『おう、行こう』と乗っかって、直後に3人で焼き肉屋へ行きました(笑)。すると、賢人くんがバンバン肉を頼むんです。散々食べ続けているのに『僕は全然、食えますよ』とか言って」

山崎「福田さんの大食いに挑戦するっていう」

福田監督「賢人くんはどう見てもお腹いっぱいなのに、どんどん調子こいてきて『飯もの、いっちゃいます?』とか面白い発信をしてくる(笑)。『全然いけます』を、笑いのネタとしてちゃんと引っ張ってくれていたんです。賢人くんが飯ものを無理やり食べてほとんど泣いているのに、新井くんは横で何も食べずにひたすら携帯いじっていたのが、本当に面白かった。それを見て、現場はなにも怖くないと思った。『飯もの、いっちゃいます?』の賢人くんの顔、完全にムロさんの“ドヤの顔”と同じだったから」

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山崎「あの時は地獄でした。福田さんにその後『あと何が食べられるんですか』と聞いたら、『ラーメンかな』。大食い過ぎ。もう恐ろしくなって、挑戦するのをやめました」

また、クラスメイトには驚天動地の変人たちが集結しているが、なかでも新井扮する燃堂は「ゴリラのほうがまだ何か考えている」とされるほどの超絶おバカキャラ。そして、そのモヒカン&極端に盛り上がるケツアゴを忠実に再現した実写ビジュアルは、もはや説明不要の凄まじさだ。

新井「うちの役づくりは、特にないです(笑)。外見だけ。インパクトはありましたが、まあ原作通りですから」

福田監督「いや、あれを原作通りにやるのが、そもそもすごい。新井くんがモヒカンを地毛でやってくれると聞いた時、自分にも燃えるものがあった」

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新井「頭の剃りこみは、現場で福田監督にやってもらったんです。皆で『ああでもない、こうでもない』と言い合っていましたね(笑)」

福田監督「新井くん、本当に楽しんでくれていたよね。撮影初日に、新井くんが遠くのほうから『福田さんはやっぱり、この規模の映画が良いよ!』と大声で言ってきた(笑)。僕の横でプロデューサーが、小さい声で『これ結構予算あるんだけど……』と言っていました(笑)」

新井「(岡田似蔵役で出演した)『銀魂』と比較していいんだったら、めっちゃ楽しかったですよ(笑)。『銀魂』の時はスタッフの人たち、うちが来るとピリピリしていたけど、『斉木』だとうちが入ってきた瞬間に皆ニヤニヤしていたから」

福田組の雰囲気にあてられ、キャスト陣がマシンガンのごとくギャグを連射し続けた現場は、各々に「やらなきゃ食われる」という意外な危機感もあったという。福田監督が「序盤の屋上のシーンが大好き」と回顧すると、山崎と新井もすかさず「あそこはやばかった!」と吠えるように笑った。“厨二病”全開の言動を繰り返す海藤瞬(吉沢亮)と、斉木&燃堂が屋上でエンカウントするが、誰一人として会話を成立させないシュールな時間が流れるひと幕だ。

福田監督「吉沢くんがあれだけのテンションでガッチガチに海藤を演じているのに、新井くんのボケがものすごくマイペース。それに賢人くんが『スンッ……』とたたずんでいる空気が大好き」

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山崎「燃堂、『そんなことが書いてある気がする』とか言っていましたね(笑)」

新井 笑

福田監督「あのボケ、本当に好き。それで斉木が『適当なことを言うな』とツッコむのも最高に好き」

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