「まさしく芸術!」ブレードランナー 2049 やまちゃん⛰さんの映画レビュー(感想・評価)
まさしく芸術!
前作の「ブレードランナー」を観ず、かつ、「ブレードランナー2049」に関する前情報を一切仕入れない中での鑑賞。
激しいアクションシーンの多いSF映画なのだろうなとポスターから想像していたのですが、
良い意味で激しく裏切られた。
芸術性が非常に高くテーマが難解なのに、3時間弱という比較的長い時間ですが飽きることなく鑑賞することができました。
まず度肝を抜いたのが、映像表現の美しさ。
「インターステラー」を鑑賞した際にもCGを駆使した映像表現にとても驚きましたが、
「ブレードランナー2049」はそれ以上です。
「インターステラー」は自然を対象としたCG表現が巧みでしたが、
「ブレードランナー2049」は建物やネオンなどの人工物を対象としたCG表現が美しすぎる。
CGを用い、核戦争後の街の退廃的な雰囲気を醸成することが非常に上手い。上手いというより、芸術に近い。
加えて、テーマが「人造人間のアイデンティティ」という難解なもの。
「大義のために死ぬということは、もっとも人間らしい」という印象的な言葉が映画内で発せられましたが、そもそもの「人間らしさとはなにか」と考えさせられました。
レプリカントは人間の都合のいいように作られた「人造人間」ですが、主人公のKをはじめ、人間でない登場人物は人間特有のあらゆる感情を持ち合わせている。
両者を隔てるものは、「身体」という物体であり、さらに言えば、本作の核となる「繁殖機能の有無」だと思います。
なぜレプリカントが子どもを産むことができたのか、というもっとも大きな謎は明かされなかったので、続編「ブレードランナー2099」を楽しみにしておきます!