「フィリップkディックの世界観がちゃんと表現されている」ブレードランナー 2049 neoさんの映画レビュー(感想・評価)
フィリップkディックの世界観がちゃんと表現されている
ディックさんの原作をベースにしつつも、
別物になってしまう映画は多い印象ですが。
ディックさんの考える人間は、
必ずしも生物学的な意味での人間ではないそうです。
むしろ、今回の主人公のように
体制や自らの役割、任務にあたりながらも
自分を疑いながら、「私は誰なのか」、
並行して問い続け、追い求めている。
そういう姿の中に人間性を見出しているのが
ディックさんの人間観のように思います。
これはディックさんだけでなく、私達にも共通するものが
あるのではないでしょうか。
ただ、それって結構、映画で表現するには
難解といいますか、わかりづらいものなってしまいがち。
だから、もっとビジュアルなどで盛り上げて、
そういう本来のテーマはやや横に置かれる傾向が
多いように思いますが。
しかし、本作はそこがちゃんと表現されていて。
人間のような弱さや不安、恐れ、欲望なども
レプリカントの中にちゃんと描かれている。
従順さの狂気も含めて。
だから、見終わったあとにも、
設定は未来SFのようで、実は歴史ものの映画を見たような、
既視感、懐かしさのようなものが残る。
これはディックさん特有の世界観に僕らが引き込まれて、
ある種の哲学的な問いを主人公と共有しながら、
どこか主人公と一緒に僕たちも何かをやり遂げたような
達成感や癒やしのようなものを共有できるような。
そんな感覚があります。
「ああ、これでよかったんだ。。。」という。
本当の意味でのハッピーエンド。
主人公の死とともに。。。
一つの素晴らしい生の輪廻といいますか、
良いものを見たな、という感覚が残りました。