「アンドロイドは電気アルマスの夢を見るか? 偉大すぎる前作と比べるのは酷だが、やはり冗長すぎる…🌀」ブレードランナー 2049 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
アンドロイドは電気アルマスの夢を見るか? 偉大すぎる前作と比べるのは酷だが、やはり冗長すぎる…🌀
人造人間“レプリカント“と、彼らを「解任」する者”ブレードランナー”の対立を通して人間の自由と尊厳の意味を描き出すSF映画『ブレードランナー』シリーズの第2作。
LA市警のブレードランナーであるKはとあるレプリカントの秘密についての捜査を進めるのだが、その裏で世界を支配する巨大企業「ウォレス社」もまた動き始めていた…。
監督は『灼熱の魂』『メッセージ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ。
○キャスト
リック・デッカード…ハリソン・フォード。
主人公、Kを演じるのは『きみに読む物語』『ラ・ラ・ランド』の、名優ライアン・ゴズリング。
ウォレス社のCEO、ニアンダー・ウォレスを演じるのは『ファイト・クラブ』『ダラス・バイヤーズクラブ』の、オスカー俳優ジャレッド・レト。
Kの”恋人”、ジョイを演じるのは『ノック・ノック』『スクランブル』のアナ・デ・アルマス。
製作総指揮は、前作では監督を務めたサー・リドリー・スコット,GBE。
音楽は『ダークナイト』トリロジーや『インターステラー』の、巨匠ハンス・ジマー。
第90回 アカデミー賞において、撮影賞/視覚効果賞を受賞!✨
第43回 ロサンゼルス映画批評家協会賞において、美術賞を受賞!
SF映画の金字塔『ブレードランナー』(1982)。本作はその、実に35年ぶりとなる続編である。
ちなみに、『ブレードランナー』(1982)は「ファイナル・カット」版をIMAXで鑑賞。これマジ凄かった!!なお、前作と本作との間に起こった出来事を描く短編が3作ある様ですが、それは未鑑賞です。
『ブレードランナー』と言えば、映画史に残るレジェンド中のレジェンド。そのような作品と比較するのは酷だと思うが、正当な続編である以上、ある程度は前作と比較して批評するのはやむを得ない。
前作は120分にも満たない時間でありながら、荒廃した近未来の世界を圧倒的なリアリティを持って観客に突きつけ、その中で生きるレプリカントの悲惨な宿命を描き出し、さらに緊迫するバトルアクションまで提供してくれた。
シド・ミードによる卓越したデザイン、ヴァンゲリスによるサウンドトラックの素晴らしさ。どこを取っても一級品である。
生命と自己存在について観客に問いかける哲学的な側面と、ハラハラドキドキするエンターテインメント的側面を併せ持つ、まさに傑作と言わざるを得ない上質な映画である前作。
それに比べて本作はどうか?
荒廃した世界観は前作を思い起こさせる。
冷たい雨が世界を覆っている感じとか、日本語やハングルの看板があちこちにある感じは『ブレードランナー』っぽい。…のだが、前作のようなリアリティがない!綺麗にまとまり過ぎていて、作り物感が強すぎる。
また、今回はLA以外にもラスベガスや巨大廃棄場が登場するのだが、どの場所も映像的な面白さがない。
ただだだっ広いだけに見え、逆に前作よりも世界が狭く感じてしまう。
そして展開が冗長で面白くない。3時間近く上映時間があるのに、やってることは終始人探し。サスペンス要素があればまだ良いんだけど、なんかちんたらやってるだけで特別な驚きはない。
うーん本当に退屈…。鑑賞中何度時計を確認したことか。
前作のルトガー・ハウアー率いるレプリカント集団のような魅力ある敵役がいないため、アクション的な盛り上がりは皆無。というかそもそもアクションシーン自体が少ない。せっかくのSF映画なのだから、もう少し山場となる様な銃撃戦なり肉弾戦なりが欲しかった。
悲しかったのはデッカードがただのジジイになってしまっている事。前作のハードボイルド的なキャラの魅力が完全に消えてしまっている。
クライマックスの水中戦なんて、ただの老人虐待、もしくはドリフのコントみたいで失笑してしまう。
シナリオも所々ツッコミたくなるような点が多く(拷問の為にわざわざ宇宙行くの?LA市警簡単に侵入され過ぎだろ…。いきなり家に娼婦が来たら怪しくないか?などなど…)、決して褒められたものでない。
本作の黒幕であるジャレッド・レトも結局投げっぱなしだし、終盤にレプリカントのレジスタンスみたいなのが出てくるが、別に活躍しないし、なんか消化不良な感じが否めない。
本作は続編ありきで作られた映画なのだろうか?
全体的に不満点しかないが、とはいえ、ライアン・ゴズリング演じるKのキャラクターは演者の演技も相まって非常に良かった。
レプリカントであることから「人もどき」と差別され、ヴァーチャル映像の恋人ジョイを唯一の心の支えとしているあまりに悲しい男。
自分は特別な存在だと思いこみ、そこに希望を見出すが、結局その希望も潰える…。
恋人も消滅してしまうが、そもそも彼女から自分への愛情は作られたプログラムではないのかと、ジョイの巨大なホログラム広告を見ながら思う…。
いくら何でも虚しすぎる…。救いはないんですか…😢
クライマックスで、彼はデッカードを救うという選択肢を取る。命令ではなく自らの意思に従い行動する、そんな彼の姿にこそ真に「特別な存在」を見ることができる。そこはやはりグッと来ます。
Kというキャラクターの魅力は十分にあったと思うので、あとはストーリーがもう少し面白ければ傑作になっていたかもね。
まあ何のかんのと言ってきましたが、本作には紛れもなく素晴らしいところがひとつある。それは、とにかくアナ・デ・アルマスが可愛い!!!😍
そりゃこんなバーチャル彼女がいたら本物の女になんか目が向かんわ!彼女のキュートな姿を拝める、これだけでもこの映画を観る価値は十分にあると思います笑
前作クラスの面白さを期待すると確実に肩透かしを喰らうであろう。
話自体はすごくシンプルなんだからもっとコンパクトにまとめて、アクション的な見所をバンバン詰め込んだ娯楽大作にしちゃえば良かったのに。ヴィルヌーブってばほんとに真面目ね。
(再鑑賞:2024年1月17日)
前回ハマらなかったのはCMが間に挟まっていたからかも、と思い、今回はノーカットノーCMで鑑賞。
…やっぱりつまんねーぞこの映画!!この設定でよくここまでつまらない映画作れたなヴィルヌーブ!逆に凄いぞ!!
というわけで評価を下方修正しました。『エイリアン』シリーズ(1979-)みたいにリドスコ御大自身が続編作ってくれないかなぁ…。