「切ない」ブレードランナー 2049 あずきさんの映画レビュー(感想・評価)
切ない
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SFアクションみたいな派手なものを期待していたけど、切なく悲しい、考えさせられる作品だった。自分が何か大きな物語の悲劇の主人公だと思い始めた途端、何者でもない哀れな存在だと知る。そしてそこからようやく自分の物語を生き始める主人公に、胸が熱くなった。そしてそこに至るまでの苦悩や葛藤こそがまさに人間らしく、そこに嫉妬したであろう、あの女性レプリカントが必要以上に暴力的になっていったのも、とても人間らしく思えた。あの地下組織もそう。おおよそ人間がやりそうなことを繰り返す悲しさ。それをレプリカントがしていることが哀れでもあり、感動的でもあった。一番非人間的だったのがウォレスだったけど、非人間的だったからこそ人間だろうな、と思わされるのがなんとも…。
映画館で観た直後は画的な美しさの方が印象に残ったけど、後から友だちと映画について話したり、他の人のレビュー読んだりして、どんどん物語にのめり込んでいくような感じで、もう一度観たくなる。
前作のように多方面に文化的な影響を与えるようなものではないだろうけど、前作にさらに深みを与えるような美しい続編だと思う。
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