「無意味な作品」ブレードランナー 2049 旧型ブレランファンさんの映画レビュー(感想・評価)
無意味な作品
2049には何の感動もなかった。この物語は、私にとって全く無意味である。レプリカント(人造人間)は「母の胎から生まれなかったこと」や「記憶を植え付けられたこと」に苦悩し、その恋人は「肉体がないこと」を嘆いていた。彼らにとっては切実な問題であろう。しかし、どの悩みも人間が経験するものではないのだから共感できるはずがない。結果として、物語の終盤ではレプリカント同士の残虐な殺し合いを傍観することになり、後味の悪さだけが残った。それゆえラストシーンにも涙は出ない。
それに対して前作は、私にとって最高の作品である。寿命を設定されたレプリカントたちは長生きを要求して暴れまわり、一方で、人生に疲れ果てたデッカード刑事が彼らを始末するために渋々働く。私はデッカードの奮起を願い、レプリカントが一掃されるのを期待する。しかし考えてみれば、人間にだって寿命はあるし長生きを望むこともあると、ふと気づかされる。そしていつの間にか、仲間の死を悲しむレプリカントの心情に共感させられている。最後の場面では、死期を悟ったレプリカントの振舞いと台詞に圧倒され、言葉にできない衝撃と感動を与えられた。まさに、繰り返し見たくなる名作である。
「前作で十分ですよ!」。
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