「文句なしの続編」ブレードランナー 2049 M.Kotaroさんの映画レビュー(感想・評価)
文句なしの続編
文句なしの出来栄え。まず,何よりも素晴らしいのが「これぞブレードランナー」と思わずにはいられない独特の世界観が健在であること。『ブレードランナー』が創造した唯一無二のディストピア的未来世界の雰囲気は本作に正しく引き継がれている。ストーリー的にも本作の物語は前作の主人公デッカードの「その後」と密接につながっているので,まるでひとつの巨大なサーガが織りなされているようにも感じる。
音響も強烈だ。耳ではなくて身体全体に響き渡る「音の塊」は不穏でともすれば不快な印象を与える独特なサウンド。薄暗い画面の様子とあいまって「ブレードランナー」の独自世界をさらに魅力あるものに仕上げていると思う。
役者陣も素晴らしい。デッカード役のハリソン・フォードは言うに及ばす。本作で捜査官Kを演じたライアン・ゴズリングは,感情を押し殺した冷静沈着な表情とたたずまいが人間を超越した雰囲気を感じさせ,いかにも最新型レプリカントらしい。
そのKを追い詰めるラヴを演じるシルヴィア・フークスのクールビューティーっぷりも最高だ。ただでさえ戦闘能力がずば抜けて高い上に,K以上に感情を感じさせない冷徹なマシーンのようなその姿は,見てるだけで心底怖くなる。
人間味が薄い世界観にあって,唯一の例外がアナ・デ・アルマス演じるジョイの存在だろう。その正体は完全なるAIなので人間的な感情からは最もかけ離れた存在だが,献身的にKに寄り添うその可憐な姿は本作で登場するどのキャラクターよりも人間らしさを感じさせるから不思議だ。