劇場公開日 2017年10月27日

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「胸が締め付けられる」ブレードランナー 2049 Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5胸が締め付けられる

2017年10月28日
iPhoneアプリから投稿

原作の題名は「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」。生きたペットを飼うことが特別なことになった時代、人間は電気羊に偏愛を寄せる。果たしてアンドロイドは人間のように電気羊の夢を見るのか?

電気羊への偏愛が最も人間らしい要素だとすると、ジョイを愛するKは実に人間らしいわけだ。
「あなたは特別」って励ましてくれるジョイの可愛さと二人の繊細な愛情表現にグッとくる。

一度社会がシステム化されてしまうと、善良な市民はその枠組みの中で自分の役割を遂行して生きていく。悲喜こもごもあり、あらがいながらも「切ないよ」と嘆くのが関の山。システムに組み込まれることの恐ろしさを痛感する。
完璧なレプリカントとして生かされるKは、まさに現代人へのオマージュだと思った。

最後まで誰よりも人間らしいKの切なさはさることながら、普通の青年が戦争に行かされる現実や、カズオイシグロの「私を離さないで」の若者たちを連想して、胸が締め付けられた。

Raspberry