「ライアン・ゴズリングの名前のない男」ブレードランナー 2049 Toshiさんの映画レビュー(感想・評価)
ライアン・ゴズリングの名前のない男
これは続編を超えて独立した傑作。成功の多くは主演のライアン・ゴズリングにある。ゴズリング演じるブレードランナーは K と呼ばれているが、これは名前どころかあだ名ですらない。シリアルナンバーなのだ。名前のない男はハードボイルド小説やイーストウッドの西部劇から続く伝統だが本作では名前の代わりになんとシリアルナンバー。K は最初狂言回しにみえるが、次第に物語のコアに移動してくる。ゴズリングは「ドライヴ」でも名前のない男を演じた。あの映画でも本作でも名前もない彼が他人の人生を引き受けて死んでいく。ハードボイルドの探偵にもイーストウッドの流れ者にも人生は見えない。しかし K には人生らしきものがあったように見えるからラストが哀しい。ゴズリングの孤独をたたえた目が素晴らしく不覚にも泣いてしまった。「ラ・ラ・ランド」でもこの目が生きてたね〜。
前作を観ていた方がストーリーの通りがいい。しかし観ていなくても想像力でカバーできる作りにはなっている。ヴィジュアルは圧倒的だが前作での衝撃は超えていない。この点はどうにもならない。オリジナルあっての世界観だからね。
音楽を含めた音響も素晴らしい。やはりこれは劇場のスクリーンで観ないとね。
コメントする