「ディックが繰り返し問うたテーゼを幾重にも重ねた極上のSFドラマ」ブレードランナー 2049 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
ディックが繰り返し問うたテーゼを幾重にも重ねた極上のSFドラマ
前作から30年後のLA。”人造人間”レプリカントを開発したティレル社の技術を譲り受けたウォラス社の開発した新型レプリカントが様々な分野で社会に進出し人間と同様の生活をしている社会。LAPD所属のブレードランナーであるKもレプリカントで、上司の指揮下で旧型レプリカントの捜索と殺害に従事していた。郊外で蛋白質農場を営むモートンが旧型レプリカントであることを察知したKは格闘の末モートンを倒すが、彼は「お前は奇跡を見たことがないだろう」と謎の言葉を残す。Kは農場の地中に厳重に密閉された金属製のケースが埋もれていることを検知、その中には白骨死体が隠されていた。
新型レプリカントには幼少期の記憶が埋め込まれていて本人もそれが模造記憶であることを知っているという設定からゴロゴロと物語が転がる、フィリップ・K・ディックが繰り返し問うてきたテーゼを幾重にも重ねた極上のSFドラマ。KとホログラムAI、ジョイが紡ぐ舌足らずな恋物語もライアン・ゴズリングの出世作『ラースと、その彼女』を彷彿とさせる切なさに満ちていて胸に沁みます。
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