「この世に未練を残した幽霊が友人の前に現れて・・・」ちょっと今から仕事やめてくる 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
この世に未練を残した幽霊が友人の前に現れて・・・
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・・・・、超人的な解決法で助けにやってきた幽霊話かと思ったら違ってた。まあ途中で、もしや?と気が付いてはいた。現実であるからこそ、言葉が生きてくるのだからそれでよかった。
結局、「生きてさえいれば」なのだよ。何事も。なのに、もう死ぬしかない、とまで思いつめてしまうと大事なことを忘れてしまう。「死ぬこと」と「会社を辞めること」とどちらが楽なのか、という簡単な問題さえも。
主人公青山の煮え切れなさ、ドン臭さに苛立つ人もいるだろう。なぜだか助けにやってくる自称友達山本、何かにつけ連絡してくる母親、高圧的な部長の言動、実は裏切っていた五十嵐先輩の表裏、一切の感情を殺して潜むように仕事を続ける同僚たち、どの人物に対しても、反感を持つ人もいるだろう。僕もそうだった。何度かブラの紐がちらりと見えていた五十嵐は、その切羽詰まった感からして、枕営業もしているのだろうと思わせた。
だけど、なぜこの人達は、こういう人になったのだろう?と考えたとき、その人のそれまでの人生や現在の環境が見えてきた。すると、彼らの行動を肯定しないまでも、理解できた。すると、青山という青年が、とても穏やかで優しさのあふれる人間であることに気付かされる。
いま、せせこましい世の中で、そうやって人を見てあげるゆとりを忘れてはいないだろうか。
優が園長に預けた伝言「ありがとう」の意味は、いろいろあろう。その一番は、助けてあげることができなかった純のかわりに、君を助けてあげることができた、の意味だと思えた。
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