「青山を通じてパワハラの上司の気持ちが分かる」ちょっと今から仕事やめてくる ひまわり2017さんの映画レビュー(感想・評価)
青山を通じてパワハラの上司の気持ちが分かる
6月1日 1回目鑑賞
自分と青山をリンクして見ていたので、ヤマモトに好感、上司に嫌悪があったけれど、何故だか途中からパワハラの上司の気持ちもわからんでもないという感情もチラッと出てくる。
自分が子供に対して超キレて怒る時に似てる。
こっちが環境を整えても、成績が上がらなくて、先生からは親が叱られて、こっちだってどうしていいか分からない。
優しく言ってもダメで、もう、恫喝するしかなくて怒鳴る。
親も子も実力が理想に伴ってないんだと思う。
青山の上司も上から売り上げ伸ばせと恫喝されて、接待したり頭下げたりして何とか自分なりに精一杯やってるのに売り上げが伸びない。
頼りない部下にイライラし、成績の良い五十嵐は依存してるのかというくらいベタ可愛がり。
出来の悪い弟と出来の良い長女を差別して育ててる親みたい。
そういう親は私みたいに自分が幼い。
青山の上司も幼いんだと思う。
だからかちょっと可愛らしく感じるような所もあったような。
自分がちゃんと出来ないから常にパニックみたいに怒ってるんだろう。
青山が会社をやめる時のセリフで、上司に向かって、休んで下さいというようなことを言うが、青山はイッパイイッパイになってる上司のことを理解して恨みとか復讐とかという気持ちが無かったんじゃないか。
工藤阿須加は青山の普通さを上手に演じていて良かったし、やめる時のセリフと表情で、上司には上司の背景があるんだと気づかされた。
どうしてもヤマモトに注目してしまうが、後から青山を通して映画の登場人物の気持ちや背景を考えることが出来た。
工藤阿須加はあまり注目して無かったけど、彼の個性が強くないからこそ、見た人の気持ちを邪魔せずに作品の感動を導ける良い役者だと思った。
この映画は見る人によって心に響く役やシーンが色々と変わる。
何回か見ても気がつくシーンが変わりそう。
見た後に色々と考えられるという事は、この映画は心に残る映画と言う事だろう。
◉6月5日 2回目鑑賞
やっぱり謎の部分を分かった上で見ると前回より見えてくる物が増えてくる。
今回感じたこと
1.五十嵐に涙した。
上司の期待のプレッシャーに押しつぶされそうになってるのが分かってて、優等生が追い込まれてる感じが悲しかった。
顔に似合わない濃い目のメイク、胸元の大きく開いた服、タイトなスカート。
しゃがんだ時に裾を気にするちょっとしたシーンも実は彼女の心を表す大事なシーンのような気がする。
五十嵐は平気で割り切ってタイトなスカートをはいてる訳じゃない。
女を武器にして、いや、させられて仕事をとってるのかも。
女性の営業として辛い接待もさせられてるんじゃないかと想像すると苦しくなる。
2.青山の追い込まれ方
怒鳴られて殴られてる時の追い込まれた顔が何度見ても辛い。
あんな目が出来るのは工藤阿須加しかいない。
家売る女の時もオドオドした感じが良かった。
3.不気味な女の微笑みシーン
隆を魅入った闇の不気味な女なのかも。
隆にヤマモトの光が届かなくなって自分の闇の方へ向いてきた事への微笑み?
4.ヤマモトが隆に伝えたかったありがとうの意味
死なないでくれてありがとう、光を見つけてくれてありがとう、救えなかった純の事でヤマモトも相当な苦しみがあっただろう。
カバンを振り回してはしゃいで戻ってくる青山を見て、純を救えなかったヤマモトの気持ちは救われたんじゃないか。
あれ?隆はヤマモトの光にもなったんだろうか。
母親が死のうと思った時の光は隆だったんだよなぁ。
光は実は誰でも持ってるし、なれるんだ。
2度見たので、原作も読んでみた。
等身大のラストの原作もいいが、やっぱり映画ともなるとこっちのラストの方が壮大でいい。気持ちが明るくなる。
◉6月8日
3回目鑑賞
映画館で同じ映画を3回も見るのは初めて。
やはり回を追うごとに工藤阿須加の演技がジワジワ来る。
ティーチイン試写会に行った時に工藤阿須加が青山みたいな感じじゃなくてちょっと驚いた。
青山のちょっとモタッとしたおとなしそうな感じじゃなくて、スッとしてて都会の男っぽかった。
福士蒼汰が工藤阿須加にチョコチョコ頼ってる感じがして、イメージが逆やん!って感じだった。
何か工藤阿須加の方がお兄ちゃんみたい。
監督はお父さんか。
不気味な女のシーン、あれ、思った意図よりも怖くなっちゃったって聞いて笑った。
追い詰められた人間に見える幻のような物があるらしく、その状況を出したかったけど、怖くなりすぎたそうだ。
色々なシーンを撮ったようだから是非DVDに特典映像で入れて欲しい。
3回見て、好きなシーンは?って言われるといっぱいあるけど、サッカー場でヤマモトがたこ焼きパーティしたら帰れなくなるで〜ってニヤ〜って笑う所が結構好き。
こんな小学生いるいる!!って顔。
純と優が話てるシーンも良かった。
バヌアツは孤児院が無いって所、良かった。
青山が実家の縁側でお酒を飲んでる所も降ってる雨に色々な事が洗いながされたようにスッキリしたんだろうなって感じで好き。
最後にバヌアツで手を取り合うシーン、ヤマモトが鬼ごっこするぞ!って叫ぶ声。
気持ちが抜けるようなバヌアツの青い空。