「菅田将暉の輝き」あゝ、荒野 前篇 たけはちさんの映画レビュー(感想・評価)
菅田将暉の輝き
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寺山修司に心酔した学生時代があったが、本作の原作は未読。確か森山大道が写真を撮ってた気がする。とはいえ、「さらば箱舟」「田園に死す」などで明らかな、母と息子の歪んだ関係性や、青森(本作では福島か)と新宿といった地方と都市、記憶と現実といったテラヤマ的テーマは継承されている。しかしいかんせん全体を貫く三つのテーマが、関係性を明らかにできないまま混然と展開するのは本作の弱みだろう。
徴兵制反対デモと自殺サークル、性愛を軸とした生々しい人間関係、そしてボクシングを中心に展開する憎悪と同性愛的な青春譚。それらがその関係性を今ひとつ明らかにしないまま並行して語られるのだが、ボクシングに特化して分かりやすい1本の作品にしてもよかったのではないか?とりわけ社会問題として、徴兵制、福島震災、自殺問題を挿入するには少し無理が感じられた。
とはいえ、この作品をかろうじて映画足らしめているのは、若き日のアラン・ドロンを彷彿とさせる菅田将暉の輝きと、ヤン・イクチュンの静かなる存在感、そして彼らを彩る様々な役者達の演技だろう。
岸監督という人は、役者の映画の人なのだろう。その意味で黒沢清とは対極に位置する。
いずれにしろボクシングに決着を付ける後半に期待したい。
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琥珀糖さんのコメント
2025年4月29日
フォローバック・共感ありがとうございます。
「パターソン」
パターソンさんは幸せ者ですね。
野心とか持た図に生活者として満たされてるのは
素敵なことですね。
よろしくお願いします。