「圧倒的熱量」あゝ、荒野 前篇 ラピさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的熱量
近未来において現代より更に退廃し閉塞的な膿んだ新宿の街を描き出している世界観は好み。
ありがちな幼少のトラウマからの愛情の欠乏ややり場のない怒り、絆への切望なども
新次やバリカンを取り巻く周囲の人々との交流の中で重過ぎずテンポよく時々クスリと笑う軽さも含んで程よいさじ加減で観られていい。
欲を言えば息詰まり焼け付くような圧倒的試合のシーンに比べるとセックスシーンに匂いが足らずもう少し愛欲を貪るような痛々しげな営みを期待したが思いの外小綺麗に撮るのだな、と。
順撮りで冒頭の菅田将暉の頼りなげな身体がトレーニングや試合を重ね次第に出来上がってく過程が目に見える演出は良かった。
荒廃した世界観の強調を別視点で描こうとしたらしき自殺防止サークルのくだりは今の所蛇足に感じるが150分を超える長編にも関わらず時間の隙を感じさせない圧倒的熱量溢れる作品だった。後編にも期待。
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