「食卓の起源」オクジャ okja jeromisunさんの映画レビュー(感想・評価)
食卓の起源
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遺伝子組み換え、養殖、動物虐待、人間の行いに起因する動物の暴走など、さまざまな因子が映画の中に散りばめられて構成されていた。
肉を売るビジネスの視点と家族としてともに生きるものの視点のズレが秀逸に描き出された作品だが、あくまで娯楽作品としても楽しめる絶妙なバランスを備えていた。
R15なので血が流れるシーンはなんとなく想像できたが、それ以前に描かれるオクジャとミジャの関係性が、最後のチャプターをより引き立てていたのはいうまでもない。
冒頭の、スーパーピッグの宣伝ショーの華々しさから、ミジャが住む田舎の山奥へシーンが移行した時の、都会から田舎へと転調するときの絵的な落差が激しい。
育てやすく、肉質も美味いように遺伝子組み換えで生み出されたスーパーピッグを、とても大きく、健康に育てたミジャにメディアが、"どうやって育てたのか?"と聞き、ミジャは放し飼いだと答えた。山奥ではのびのびと走り回るオクジャも、ソウルで駆けまわれば暴走と騒がれる。
こういった対照的な描写からは放し飼いこそが動物のため、という主張にも見て取れた。しかし、そこで甘くないのがポン・ジュノ監督なのだろう。オクジャを金で買ってもスーパーピッグの食肉への加工は止まらない。
気持ちよくも、悪くもなく、食卓に並ぶお肉の起源を考える晩ご飯を導いた映画だった。
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