オクジャ okjaのレビュー・感想・評価
全42件中、1~20件目を表示
山の上のミジャ
序盤からラストまでの間に、クライマックスのムードが複数回あります。
崖から落ちそうになる場面や、街中でのオクジャ救出劇は迫力があります。
急展開の連続で先が読めなくて面白いです。
出演者は豪華です。
時は2007年、冒頭に登場する金髪の女性が、遺伝子操作により誕生したスーパーピッグの説明をするところから物語が始まります。
それから10年後の2017年、ミジャとオクジャとお爺さんに焦点が当たります。
エンディングクレジット後のALFが格好良かったです。
『となりのトトロ』のメイとトトロのような幸せなシーンがあります。
動物を愛する純粋な少女 VS ビジネス優先で冷酷な女性リーダーというところが、『風の谷のナウシカ』を彷彿とさせます。
自然派 VS 文明と考えれば『もののけ姫』の女性対決のようにも見えます。
後半、『千と千尋の神隠し』のシチュエーションを彷彿とさせる場面(どーれだ?)も有ります。
しかし内容は、ジブリのアニメ映画と比較すると大人向けで、シビアなメッセージを感じる作品でした。
オクジャと、それ以外の豚
3年前、ベジタリアンになったきっかけの映画。
韓国の山奥で静かに展開されるオクジャたちの暮らしは日本人の心象風景である里山の風景にも重なり、どこか懐かしい気持ちになる。
対して、食肉産業コングロマリット企業の社長であるティルダスウィントンが魅せるザ資本主義!金儲け!ってかんじの演技はキレッキレに振り切れていて、
その対比の描かれ方、風刺が小気味良く、エッジの効きまくったブラックコメディとして最高に楽しめた。
諸々あって最後にはもちろんオクジャは助けられてめでたしめでたし。ハッピーエンドの満足感で観終わろうとした矢先の場面が最大の見どころだと個人的に思う。
少女とオクジャが振り返ると、名もなき豚たちが流れ作業で殺され続けていく。オクジャの物語はハッピーエンドだが、食肉産業という悪夢は終わっていないことを見せつけられる。この場面を観て肉食はやめようと思った。名前のある豚と、名前のない豚。慈しまれる生命と食べられる生命。どこに線引きがあるのかわからなくなってしまった。
ブラックな風刺とピュアな心
ポン・ジュノ監督2017年の作品。
初の配信映画。
『スノーピアサー』に続く海外進出作。
巨大クリーチャー登場。
重層的な人間ドラマでもKO級サスペンス・ミステリーでもなく、ファンタジー。
ポン・ジュノの作品の中では一番の異色作かもしれない。
でも異色ながらも、要所要所きっちりと自分の作品に仕上げている。
まずはその前に、本作の概要。
巨大クリーチャーと言うと、すぐさま『グエムル』を思い浮かべる。が、あの“漢江の怪物”のような不気味で人を捕食するモンスターではない。
そもそもモンスターではなく、“アニマル”。
そして種類は、豚。
ポン・ジュノが“ベイブ”を…?
勿論ただの小豚ちゃん映画じゃない。
何故なら“オクジャ”とは、“スーパーピッグ”なのだ。
韓国の山奥で暮らす少女ミジャとその祖父。二人からたっぷり愛情注がれ、育てられたオクジャ。
身の丈は象以上。見た目は豚…と言うより、カバ。仕草やつぶらな瞳は犬みたい。結構可愛いんだな…。
知能も高い。ミジャの言葉を理解してるようであり、ミジャが崖から落ちそうになった時身を呈して助けたほど。
ミジャとは特に深い絆で結ばれている。飼い主とペットに非ず。種族を越えた友達で家族。
通常の豚より遥かに大きく、知能や愛情を持ち合わせている。
ここ韓国の山奥に住む新種で珍種の豚…?
発見されたのはチリ。
発見したのは大企業の“ミランド社”。
将来の食料問題を解決出来るかもしれない、大自然が産み出した“ミラクル・スーパー・ピッグ”。
…表向きは。
実際はミランド社が遺伝子操作で産み出したもの。
それをあたかも自然で産み出され発見したと偽り、世界中の農家の元で育成。育てられたスーパーピッグの中から優勝を選ぶコンテストを開き、大々的に世界へアピールと売り出す10年に渡るプロジェクト。
食料問題解決も建前。全ては大企業の金儲け。
それを知らぬは韓国の山奥でこのスーパーピッグと暮らす少女…。
変人動物学者が世界中のスーパーピッグを見て回り、何と優勝したのは、オクジャ!
よく分からないけど、オクジャが誉められてるようで、ミジャも嬉しい。
が、ここで本当の事を知る。優勝したスーパーピッグは最高品質の食用として…。
祖父も了承済み。報酬(黄金の豚の像)と引き換えに。
時すでに遅し。オクジャは連れて行かれた。
ミジャはオクジャを救出しようとする。まずはソウルのミランド支社へ。
オクジャを救出すべく、ミジャは支社内で一騒動。オクジャは輸送車に運ばれ、車にしがみついてカー・アクションまで。
そこへ、謎の集団が。どうやら彼らはオクジャの奪取や殺傷ではなく、ミランドに対しているよう。
一応目的は同じ。彼らの協力を得て、ミジャはオクジャの救出に成功する。
彼らは、動物解放戦線=ALF。
リーダーはジェイ。通訳のケイを通してオクジャを救出した本当の理由を明かす。
彼らの最終目的は、ミランドの横暴を暴く。それには証拠が必要。
オクジャを救出した理由は、オクジャに盗撮カメラを取り付け、ミランド本社に送り、虐待などの一部始終を撮る。
強制はしない。ミジャの同意を得た上で。同意が得られなければこの計画は中止。
オクジャを連れて帰る。ミジャは断るが…、ケイが嘘を付いて同意を得たと通訳。
哀れオクジャは助け出されたのに、ミランド社へ返される。コンテストが行われるNYへ。
ミランド社はソウルでの失態で世間の悪者扱いに。
そのイメージを払拭すべく、CEOのルーシーはコンテスト当日、オクジャとミジャの感動の再会を仕立て上げ、イメージ回復を狙う。ミジャをこちらの手中に。
一方のALFはオクジャに取り付けたカメラによって虐待の証拠を撮る事に成功。これをコンテスト当日に電波をジャックして、公です晒す。
ミランドの思惑、ALFの計画…。
その板挟みのミジャとオクジャ。一人と一頭はただ再会し、以前のように家に帰って静かに暮らしたいだけなのに…。
『スノーピアサー』に続き国際色豊かな顔触れ。
ミランド社現CEOにティルダ・スウィントン。双子の姉の前CEOにもティルダ・スウィントン。凝ったメイクと演じ分けで、『スノーピアサー』の怪演の期待に応える一人二役。
今回の怪演度ではジェイク・ギレンホールだろう。イカレ動物学者をハイテンションに。
今春の“コウモリ映画”ではテロリストを戦慄に演じたポール・ダノだが、本作ではテロ行為と信念の狭間スレスレを。
韓国キャストには、スティーヴン・ユァンやチェ・ウシク。本作の後、『パラサイト』や『ミナリ』でオスカーを賑わすキャストが。
だけど本作の主役はやはり、ミジャとオクジャ。
ミジャ役のアン・ソヒョンは特別可愛い子役ではないが、まだ垢抜けてないナチュラルな姿が健気さを滲み出す。
CGで創造されたオクジャがハイクオリティー。本当に“実在の動物”のような錯覚。
ポン・ジュノの作品としては強烈インパクトは薄く、話自体も割りとシンプル。『殺人の追憶』『グエムル』『母なる証明』『スノーピアサー』などを期待すると、ちと物足りないかも。
でも、ちゃんと“ポン・ジュノ色”は塗られている。
見ればすぐ分かる。本作は、資本主義や遺伝子操作などへの痛烈な風刺。ミランド社のCEOや重役らの傲慢で滑稽な描かれ方を見よ。幾らミランド社が造り出したとは言え、生命あるものへの酷い仕打ち。
一人の少女が見た異国社会の不条理でもある。ミランドには会社の為に利用され、ALFには闘いの助力とされ…。純真無垢なる存在は、いいようにもみくちゃにされる。
ALFは実在の組織。調べてみたら、テロ行為も辞さない過激派。色々と事件も起こし、テロ集団にも選別されてるらしい。劇中でも虐げられる動物を解放しようとする様も描かれる一方、手段を厭わず、信条に反した仲間に制裁を加える様も。
ポン・ジュノは常に社会的弱者の立場から、権力の横暴と闘い、社会の不条理を訴える。
こういう作品を見ると、食物連鎖について考えさせられる。
生命ある動物を殺して、食べるなんて!
豚や牛や鳥や魚をこれからもう食べない!…なんて、やはり出来ない。
お肉は大好き。訴えを充分理解しつつ、それでも他動物を食べてしまう人間の不条理な性。
ポン・ジュノらしさを込めつつ、これまで最も優しく、マイルドな作風。
ラストシーンもしみじみ余韻が残る。
強烈インパクトの作品はあくまで“才能”であって、ひょっとしたらこれが、本当の顔なのかもしれない。
ポン・ジュノのピュアな心が表された、ハートフル・ファンタジー。
ブラックファンタジー大作!
ハリウッドの資本をバックに
ティルダ・スウィントン
ジェイク・ジレンホール
ポール・ダノ
等のハリウッド俳優が豪華にキャスティングされつつ、主演は無名の韓国人俳優アン・ソヒョン。
テーマとしては普遍的だが
ストーリー展開はさすが!
韓国からアメリカへ海を越えての群像劇は
グエムル-漢江の怪物-をよりスケールアップした
まさにビッグバジェット作品といえる。
Netflixオリジナル作品という理由で
カンヌでは色々騒動に巻き込まれたが
ここまでアンチアメリカ的思想を掲げる作風を
意外にもハリウッドが受け入れる構造が面白い。
本作ではチョイ役ながら印象的だったチェ・ウシクは、次回作のパラサイト半地下の家族で
大ブレイクすることになる。
ついにポン・ジュノ「オクジャ okja」を観る。サムギョプサルとデ...
ついにポン・ジュノ「オクジャ okja」を観る。サムギョプサルとデジカルビを食べた次の日に観る映画ではなかったけど、やっばり面白かったなー。食の問題をここまでエンターテイメントに仕上げるのはさすが。ティルダ・スウィントンとジェイク・ギレンホールが嬉々として変人を演じているも楽しい。
感情が忙しくて大変だけどめちゃくちゃ面白い
主演の女の子はもちろん、周りの登場人物もみんな味があって、ひたすら面白かった〜!!
ALFの皆がトラックからでてきたところ、もうめちゃくちゃワクワクしたしかっこよかった😫😫
俳優さんも豪華だったし、韓国語もわかるので倍楽しめましたね。通訳の場面なんかめちゃくちゃウケた。
きちんとしたテーマ性もあって改めて考えさせられたし、コミカルで面白いから重いテーマでも最後まで退屈せずみれたのがよかった。
なによりオクジャとミジャの絆がめちゃくちゃ染みたし、なんてコソコソしてたのか気になる
ポールダノもさすがだし、リリーコリンズ最高に可愛いかったはまり役…赤髪にしたくなる
そしてなんといってもチェウシクさんの存在感最高だったな〜最後まで良かったw
1人ひとりのキャラが個性的で最後まで応援したくなった〜みんな人間味があってリアルだったし、色んな人の対比が詰まってたと思う。
気持ちの起伏がめちゃくちゃ忙しかったけど、
ワクワクして面白かったです。これは色んな人にみてもらいたい映画。
食物連鎖に是非はない
ポン・ジュノの才能はやはりすごいと思った。
決して啓蒙的な作品ではなく、ただただ事実を描いている。ミジャだって冒頭から魚を獲って食べているし、(多分食べるために)ニワトリを飼っている。助けたいのはオクジャであって、スーパーピッグ全体ではない。加工場では悲しい顔をしていたけど、きっとこれからも豚肉は食べるだろう。
でも、それが全てだと思う。私たちは誰しも、生きるために食べている。もちろんより環境に優しい生き方や、ビーガンという選択肢はあっても、地球や動物を傷付けない生き方はないはず。名前をつけたペットには感情移入するけど、家畜は別。ミジャも結局最後は商売をしただけで、そこに崇高な使命感はないはず。
ポン・ジュノ監督はそこに是も非も付け加えず、ただ私たちが勝手に何かを感じ取るだけ。
とても面白い
ポン・ジュノさんは、自身の個性のバランスと、
エンターテインメントとして大衆へアプローチする映画作品としてのバランスが非常に絶妙だなー。
とても面白い。
ミジャはひとつ大人になったね。
全ては助けられないし、
今後、お肉を食べないってことにもならないだろうしなー。
難しいねぇ…。
大勢のスーパーピッグたちが加工場へ進むしかない運命の中で、オクジャしか助けられない、やっとの子豚ちゃんだけ。
あのシーンでミジャは、急激に成長したのだろうね。
自分の無力さ、エゴ、諦め、いろんな感情が渦巻いただろうね。
ミジャ、がんばれ!!
わたしは、明日からも、お肉を食べてしまうでしょうが、
もっときちんと感謝しながら食べます。
【現代社会の遺伝子組み換え問題を含めた食肉供給システムに対するシニカル思考を絡めた、ポン・ジュノ節炸裂のコメディ寓話。】
■冒頭から、ポン・ジュノ風味炸裂の作品である。
”ミランド・グループ”を率いる金髪CEOルーシー・ミランド(ティルダ・スウィントン:ポン・ジュノ監督は、この名女優のこういう使い方が大好き・・。)はNYの大舞台で華々しく全世界に宣言する。
”スーパー子豚 26匹の将来性を!”
〈以下、ネタバレ含みます。〉
ーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、10年後、舞台はNYの遥か遠くから始まる。
奥深い山岳地帯で、チェ・ミジャと”オクジャ”(デカイ!)は、仲良く暮らしている。
ミジャが祖父ヒボンと暮らす山小屋には、「スーパーピッグ契約農家認定証」が慎ましく掲げられている。
そこに息を切らしながら登場する、ムンドおじさんとジョニー博士(ジェイク・ギレンホール:ホント、カメレオン俳優ですね・・(褒めてます))。
”マジカル・アニマル”のTV取材である・・。
そして、ヒボンからミジャに渡される”金の豚”。ヒボンが呟く、”オクジャは遠くに行くし・・”という言葉。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ミジャはオクジャが一時的に送られた、韓国ソウルのミランド社韓国支店へ行くが・・。
そこに現れる、「ALF:動物解放戦線」のメンバー達。リーダーはポール・ダノ演じる”ジェイ” メンバーには通訳のレッド(リリー・コリンズ)他。
オクジャを救出しようと、奮闘。そして、オクジャに”ある装置”を装着する。
ー豪華なキャスティングだなあ・・。そして、”何だかおバカな展開”になってきたよ・・。-
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
舞台はNYへ。
”ベスト・スーパー・ピッグ・コンテスト”会場に再び現れた、ジョニー博士!。(で、あっさりヤラレテ退場・・)
ALFのメンバーは仕掛けておいた”ある装置”の映像を映し出すが・・
ーここら辺、可成りストーリー展開が粗い。-
で、ゴタゴタの中満を期して登場するのは、CEOルーシー・ミランドの姉、前CEOナンシー・ミランド。(ティルダ・スウィントン:ポン・ジュノ監督、遣りたい放題である・・)
冷静にルーシーの所業に対処するナンシー。
オクジャも処分される直前まで行くが、ミジャが取りだした”金の豚”と引き換えに、オクジャはミジャの元へ。
そして、ミジャはオクジャと小さな”スーパー・ピッグを連れて、あの山奥へ・・。
<面白かったよ、ポン・ジュノ監督。
この作品に”一捻り半”を加えての”パラサイト”だったんだね!。>
ポン・ジュノが真剣にはしゃいだらこうなった。
この作品とにかく楽しい!
ポンジュノ監督お得意の下ネタは排除し、純粋なコメディとして笑いに磨きがかかり純粋に面白い!ポンジュノならツッコミどころのない作品を作れるのにあえて隙だらけのツッコミどころがあったりと比較的自由が効くネットフリックスだからこそ作れた作品。
序盤はちょっとイマイチかな?って思ったけどオクジャの迎えが来てからはまさにジェットコースターみたいな展開。
しかし舐めてはいけない!
お得意の後半から急に「人は動物の肉を食べている」という普遍的な社会派要素があり笑い話では済まなくなる。
ポンジュノ監督の才能がいい感じに発揮されたファミリー映画だと自分は思っている。
追記
何故今作がR15なのかが理解できない。
動物虐待シーンはあるけど教育上によろしくない要素は無かった気がする。制限つけるとしてもPG12が妥当だろう。
テーマに納得が行かない
面白かった。
オクジャのビジュアルも良かったし、
大好きなジェイクギレンホールもキレキレで良かった。
端役たちも行き届いてたと思うし、
コイツら連れて世界に乗り込みます。
と言う韓国側の配役も良かった。
単純な愛するペットを取り戻すと言う展開から、
後半はテーマが見えて来る。
家畜をこうやって殺して加工して僕らは食べてるんですよ。
と、それでも食べますか?って問われても
僕は食べます。
そこは分かってるけどぼんやりで良いんじゃないだろうか?見せる必要があるのかなと疑問に思いました。
解放組の方には、色んな人種がいたのも、
各国で行われてるのですよ。
今こそ立ち上がるべきなんじゃないか?
と言う問いかけのようにと思った。
遺伝子操作はダメ、そもそも家畜だって動物、
では猟は?魚はオッケーか?
みたいな事な気がする。
それでも、僕が今作で思った事は、
今、口にしてるその肉は
一つの命を奪ったと言う事を分かって命を頂く。
と言う事。
それでも僕は肉を食べます。
深くやるせなくなる
泥棒かと思ったら救出団体だったところでのっけからちょっとホロリ。
普通の家畜農家の想い
業者に反映した消費者の想い
反対派の想い
心を通わせてしまった者
誰しもこの中の全部に属しているのも解っているけど
感じていないふりをしてやり過ごしている。痛感。
エンドロール後のオマケ映像 笑
でも食べるよね。 ただ、たぶんいずれは、肉を作り出す方法なりが確立...
でも食べるよね。
ただ、たぶんいずれは、肉を作り出す方法なりが確立されて、「昔は生き物を殺して食べてたんだよ。信じらんないよね」って未来が来ると思う。
いただきますの気持ちでありがたく食べる、とかいう言い訳も、あくまでも今の人類にとって都合がいいだけ。ごめんなさい。
オクジャかわいい。
オクジャ可愛い可愛い!
豚肉が食べられなくなる映画www
とにかくオクジャが可愛くて可愛くて。
ボンジュノ監督の他の作品が観たくて検索、すぐに観られた作品。
この頃には予算がなかったのか、カメラマンが違うのか、パラサイトほど演出が凝っていたわけではないけれど、
この監督のいたずら心みたいな感覚が理解できると、
それをすぐに見つけられる。
テルダ・ウインストンを起用したのは正解でしたね。
こういう役をやらせたら彼女が一番上手い。
とにかく監督のいいたいことが手に取るように解るというのは、
観客はこんなにも安心するものなのだというサンプルのような作品。
きっと彼は、ものすごく中身が乙女なのかもしれないw
劇中の「翻訳は大事」に関しての表現の仕方。
仲間を想う心。
少女とオクジャの間の関係性、どれもこれも愛に溢れている。
ほぼ結末に思いっきり胸が締め付けられるシーンがある。
あぁ、もう、食べられないよ!!
お肉なんか食べなくても生きていけるよ。
消費がなければ生産もされないが、それを生業としている家族が路頭に迷う。
いったいどうしたらいいんだあああああ!!!
とにかく今はオクジャ可愛い可愛い!で集結しておく。
ペットとの違いは、個人の「主観」
パラサイトをきっかけにポンジュノ監督の作品が観たくて観てみたが、良かった。
絵的にはかなりダイナミックで、社会的な大きな課題をエンターテインメントとしてしっかり楽しませながら観させる。ペットとご飯の違いはなんなのか。純真無垢な少女の表情も最後少し違うように魅せる絵は本当に綺麗。少女の家も食べるための鶏を飼ってる絵を見せて、食事のシーンで終わるのも重く考えさせるシーン。
工場のシーンはかなり衝撃的だったけど、実際とあまり違いないんだろうな。
確かに食品から大きな協賛をもらっているテレビとかでは流せない作品かもしれない。
動物愛護団体も、食品会社もかなり皮肉に見せている。でも一方で、個人個人の主観は共感も出来るところを残しつつ、共感しきらせないのがポンジュノ監督の作品のすごいところかもしれない。
秀作です
ストーリー、時間配分、ジャンルの配分が映画のセオリー通りで飽きずに見ることが出来ました。個人的にはコメディとシリアスの落差が大きすぎて観賞後の気分はそこまで良い物ではありませんでしたが、、
とにかくオクジャが可愛いです。色々な立場の人々が出てきてどれも筋が通ってるのですが、農家の娘を主人公にすることでかなり感情移入出来ました。で、オクジャの見た目に物申すのは物語の本質を理解していないと思います。オクジャの見た目は極論何でも良くて、重要なのはオクジャとミジャのリレーションシップです。
また好きな俳優が出てたのも良かった。ジェイクギレンホール、ポールダノ、スティーブンユァンが出てるので半端な面白さでは認められないと思ったのですが、十分面白かったので良かったです。
愛の線引き
個人評価:3.5
後半までは本題に対してアプローチが少なく、よくある退屈なストーリーだが、後半にギュと駆け足でテーマを伝えてくるので、1時間映画くらいでよいかもしれない。
家畜と食の考え方をテーマに、動物愛護と家畜の線引きを上手く描いている。動物愛護の団体はその線引きを一切せず、菜食主義を貫き、動物全てを愛するが、少女はしっかりと線引きしている。家では鶏を飼い、鶏肉が入ったスープが好物だという。またオクジャの屠畜場では、せめてオクジャを連れ戻せればという気持ちは、その愛を向ける線引きをしっかりとしている。
最後のおじいちゃんと食卓を囲み、家畜の鶏の鳴き声が聞こえる中、食事をするラストカットは、まさにテーマを詰め込んだポン・ジュノ節である。
ただ大好きな怪優ジェイク・ギレンホールがいい役でなかったのは残念。
家畜に名前をつけるな
「パラサイト」の流れでNetflix視聴。
第一幕、なんならファーストシーンからいろいろセッティングがうまく行ってないのでは…と思った懸念はラストに至り間違ってなかったとわかる。
いろいろ気になる点があり、イマイチ乗れないまま終幕。
そもそも大企業に見込まれた「優秀な」農家のはずでは…?
職業倫理として、名前つけてる時点でおかしくない?
他の豚もいない農家に貴重なサンプルを預けるとか、どういう基準で選んだの?
たとえば主人公の両親が健在の時はもっと大がかりな畜産をやっていて、指名されたものの不幸があって規模縮小となり、親をなくした主人公と友人のように育てられた、とか全力でフォローできなくはないけど、それだと結局内輪の問題になっちゃう。
なによりオクジャが可愛くない。見た目が豚というよりカバだし。リアルな質感をだそうとしてるのはわかるけど、あんまり豚感がない。
こんなにかわいい豚をおいしくいただいちゃう残酷、てのがこの話のキモでは?
あと、主人公が「親友」のレイプ&肉サンプル摂りのトラウマに直面させられなかったのは、欧米流のコンプラが立ちはだかった結果?
序盤のトトロ的な雰囲気と中盤からのET的チェイス、悪趣味な資本家たちの戯画化、食品産業と消費の矛盾、欧米とアジアの落差など、各要素がバラバラ、ガタガタしたまま進んでいって、まとまらずに終わる。
ネタはいいのにもったいない。とくに翻訳の件とか、冴えてたと思う。
結局のところ主人公ミジャはどう成長したんだろうか。
自分にとっては無二の親友でも、他者にとってはただの「商品」に過ぎない現実を受け入れた=大人の階段登った、ってことなのかなあ…
漫画「シュナの旅」で主人公がヒロインを金で買わずに奴隷商人から救い出すというくだりがあったけど、それの真逆を行ったみたいな。
宮崎駿が絶対に選ばないだろうオチだし、そもそもオクジャをずっと愛らしく描いたろうな。違うからダメってことじゃないけど、中途半端なオマージュ入ってるだけに、どうしてもここは? ここは? と比べてしまう。
倫理的に正しいかどうかは別として、少なくとも主人公の目にはかわいい、大切な相棒なのに、伝わってこないのが残念。
所詮、すべては幕切れのやるせなさにたどり着くための道具立てに過ぎないのか。
家畜につけた名前がタイトルで、その子だけは救い出せたけど、名もなき他の仲間たちは家畜として殺されていく、たとえ主人公でもそういう世界の構造を変える力はない、なす術なく見送る他はない無力感、そして現実の食肉産業へとつながっていく…という徹底した豚目線。
ただ、ここに至っても私の脳内には疑問が浮かんでいた。
①オクジャは世界一のエリート豚なのに、見分けがつかないほど他の豚も立派な体格でいいのだろうか
②そんな豚が無数に集められているなら、王蟲のように雪崩をうって走り出せば、あんな電気柵なぎ倒せるのでは?
そういう細かいところを押さえてないから、ご都合に感じてしまう。
そもそも、混乱は初手でオクジャが世界一の豚に選ばれた理由が不明瞭なことから始まっていた。
そりゃいい環境で伸び伸び育ったんでしょうけど、なにをもって「世界一素晴らしい」のか明確に定義されていない。
大きさなのか? 味なのか?
(そもそもスーパー豚のメリットってなに? 身体が大きくて歩留まりがいいってこと? 普通の豚は生後半年で出荷されるのに?)
これって結構大きなつまづきなんでは。
たとえばいるはずのない宇宙人なら、即座に追いかけっこが始まってもOKだけど、そもそも独自設定の「スーパー豚」の、中でも別格でスペシャルな一頭とか言われたら、いろいろ説明がいるよね、という。
なのでもしや残りの25頭があとから合流する流れが来るのかと思っていた。八犬伝か。
ささやかな希望を託すような幕切れはまあいいとして、回収されなかったレイプの件はもしや妊娠の可能性? と最後まで待っていたため、なんだかモヤモヤしたまま終わってしまった。
単に食の矛盾を訴えるだけなら、淡々としたドキュメンタリーで充分じゃないかな。
少なくともわざわざ予算をかけて作為を加えるからには、もうワンステップなにかが欲しかった。
まだスノーピアサーの方が楽しめたなあ。
エコテロリストたちがあの程度の行動でドヤってるのもちょっと。それこそ現実の活動家みたく最初から電気柵を切ったりしとけばよかったのに。
全力で小者を演じるティルダ様も素敵だけど、ぶっちゃけあの姉妹の葛藤とか別にいらなくね? っていう。やるにしてもあそこまでボリュームがあるとバランスが悪い。
キャストがノリノリなのはいいんだけど、手綱を引くのは監督の仕事では。
もったいつけて登場したラスボスの割にあの対決、イージー過ぎません?
ポンジュノはもっとそつなくやると思っていたので意外だった。
ジュブナイル的なネタに向いてないのかな。
全42件中、1~20件目を表示