「【”修道女であったミス・シェパードが、ボロッチイバンで独りで生活するようになった理由。”彼女を疎ましく思いつつも、寛容な心で受け入れる英国カムデン通りに住む作家ベネットとの関係性を描いた作品。】」ミス・シェパードをお手本に NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”修道女であったミス・シェパードが、ボロッチイバンで独りで生活するようになった理由。”彼女を疎ましく思いつつも、寛容な心で受け入れる英国カムデン通りに住む作家ベネットとの関係性を描いた作品。】
ー イギリスが誇る名女優、マギー・スミス主演によるユーモラスな感動作。 ー
■ロンドンの高級街カムデン。
路上に停めたオンボロの黄色い車の中で暮らすミス・シェパード(マギー・スミス)は、とっても偏屈であるが、淑女としての姿を崩さずに生きている。
ある日彼女は、路上駐車を咎められて立ち退きを迫られるのだが、それを見かけた劇作家のアラン・ベネット(アレックス・ジェニングス)は、親切心で自宅の駐車場を貸すと提案するのだが、結局彼女は15年もアランの家の駐車場で生活するようになる。
<感想><Caution!内容に触れています。>
・先日、別の映画のレビューにも書いたが、私は英国BBC制作の映画が好きである。だが、この作品は知ってはいたが鑑賞出来なかった。
・今作が面白いのは、アラン・ベネットが双子の様に描かれてる手法である。
ー 劇作家として、冷静にミス・シェパードを観るアランと、彼女を気遣うアランが同画面井に出演し、夫々のミス・シェパードに対する見方、考え方を述べる姿。-
■ミス・シェパードが、修道女としてアルフレッド・コクトーにピアノを習っていた過去。そして、そんな彼女がある日、運転していたバンで、三差路でオートバイを飛ばして来た若者とぶつかり、逃げてしまった過去。
だが、彼女はそのバンに乗って修道院を追われつつ、一人生きるのである。
・ミス・シェパードはそんな自らの過ちを悔いつつ、必死に生きて来たのである。
ー 彼女が、最初に路駐していたカムデン通りの家から流れて来る音楽に”五月蠅い”と言って居を変えるシーンは、彼女の過去のピアノを習っていた事との決別であろう。-
・そして、彼女が新たな住処としてアラン・ベネットの家に、ボロッチィバンを停める姿。
ー 何だかんだ言いながら、ミス・シェパードの事を気に掛けるロンドンの高級街カムデンの人々の姿。その筆頭は当然、アラン・ベネットである。-
<今作は、過去の事故を悔い乍ら、ミス・シェパードの人間関係や物欲にとらわれない自由な生き方が印象的な作品であるとともに、彼女を見守る英国ロンドンの高級街カムデンに住む人々の善性在る姿が、沁みる作品である。
今作が実話ベースであることも、余韻に浸れる一因であろう。>