ミス・シェパードをお手本に

劇場公開日:

ミス・シェパードをお手本に

解説・あらすじ

「ハリー・ポッター」シリーズでおなじみのイギリスの名女優マギー・スミスが、16年間にわたり主演してきた舞台劇の映画化で、スミス扮する風変わりなホームレスの老女と劇作家の奇妙な絆を描いたドラマ。北ロンドン、カムデンの通りに止まっている黄色いオンボロの車で暮らすミス・シェパード。近所に引っ越してきた劇作家のベネットは、路上駐車をとがめられているミス・シェパードに声をかけ、親切心から自宅の駐車場に招き入れる。それから15年、ミス・シェパードはベネットの家の駐車場に居座り続け、ベネットは、高飛車で突飛な行動をとるミス・シェパードに時折、頭を抱えながらも、なぜかフランス語に堪能で、音楽にも造詣の深い彼女に惹かれていく。脚本を手がけた劇作家アラン・ベネットの実体験に基づく物語で、舞台版に続きスミスがミス・シェパードに扮し、ベネット役をロイヤル・シェイクスピア・カンパニーなど舞台で活躍するアレックス・ジェニングスが演じている。

2015年製作/103分/G/イギリス
原題または英題:The Lady in the Van
配給:ハーク
劇場公開日:2016年12月10日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第73回 ゴールデングローブ賞(2016年)

ノミネート

最優秀主演女優賞(コメディ/ミュージカル) マギー・スミス
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映画レビュー

4.5我々は皆、人に語れる物語の主人公たれ!

2016年12月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

笑える

幸せ

瀟洒な住宅が並ぶ北ロンドン、カムデンで、黄色いおんぼろワンボックスカーで暮らすホームレスの老女、ミス・シェパードを、なぜ、劇作家のベネットは車ごと庭に招き入れたのか?ベネットが単に物好きな男だったからではない。ミス・シェパードのシビアな人生経験に裏打ちされた頑固さとユーモアが、彼の作家魂を否応なく刺激したからだ。あんな頑固婆なんか放っておけ!というコンサバな自我と、その状況を思わず文字に置き換えてしまう作家の性(さが)とが、つまり主観と客観が格闘する様子を、このジャンルでは珍しい合成を駆使した俳優の1人2役で描いているのは、終始主人公の自問自答方式で展開する映画の方法論としては理に適っているわけだ。一方で、シェパードとベネットは共に社会の倫理を逸脱した者同士独特のシンパシーと、深い孤独を共有し合う仲である。ベネットにとってシェパードとの出会いは、作家の創造力を誘発する千載一遇のチャンスであり、同時に、淋しい自分と向き合い、そこから脱却するステップボードでもあった。ラストで引用されるフレーズに耳を傾けて欲しい。「物語を書くのではなく、自分の中に物語を見出すのだ」。そう、作家ばかりではない。我々は皆、人に語れる物語の主人公たれ!それこそが、基になっている舞台劇の、本作のテーマである。

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清藤秀人

1.0頑張って見たが、、

2025年6月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:TV地上波

年寄りに苦労したことがない人でも、見るだけでストレスが溜まるだろう。
何かあるだろうと頑張って見たが、何もないまま終わる。
強いてあげれば、イギリス人の嫌なイメージがよく出ていた。

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たな

3.0車中泊ホームレス婆さんのわがままに振り回される実話

2025年6月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

劇作家ベネットの母親は健康だったのに施設に入り自由がなくなり、他人であるホームレスの婆さんは好き勝手に生きて自分の庭に15年も居座るという対比。そしてシェパードとの友情も生まれたのに看取ったのは自分ではなくソーシャルワーカーだったという皮肉。こんな自己中のミスシェパードをお手本にと言われても(白目)
冒頭のショパンピアノコンチェルトの後も劇中はずっとクラシックが流れていて心地よかった。

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ゆうき

3.0迷惑なのに、なぜか憎めないおばあちゃん

2024年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

英国の、カムデンタウンでホームレス生活をおくるおばあちゃんが主役の映画なんて、だれが見たいというのかと思う…ところが、ところが、たまたまさわりだけ見ていたら、引きこまれて、とうとう最後まで見てしまった。

全編におばあちゃんが出ずっぱりで、変化に乏しい絵面(えづら)だけど、彼女の、何かを訴えようとする言葉は、ただのセリフじゃなく、常に、誰かの心を動かす。そして、彼女のめんどうを見るハメになった劇作家のモノローグは、「もうひとりの自分」との会話と言う形式を取り、巧妙に心理を表している。ここが、そこらの自叙伝的映画と決定的に違う演出だろう。

もうひとりの自分は、自宅の中に閉じこもり、誰とも交わらないが、さらっとタネ明かしをしてくれる。それも本当にさりげなく。劇作家がひとり語りを続けるという形式でも、こんな見せ方があったのかと、ちょっと感心した。

音楽の使い方も、実に巧妙だ。劇中、回想シーンに使われる、ショパンの協奏曲はクレア・ハモンドというピアニストが演奏しているが、ミス・シェパードが、戯れに、許しを得て、浄化されて、恐る恐る禁忌を解いて、本当に幸せそうにピアノに触れるシーンでは、見事にピアノを奏でる。まるで、本当に弾けるかのように、ピアノをつま弾くマギー・スミス。彼女の演技力の賜物か、それとも本当に弾けるのか。

謎解きで始まるのに、謎解きの要素はほとんどない。最後に、ちらっとそのことに触れるだけ。でも、彼女を突き動かしていた贖罪の意識は、周囲の寛容によってなぜか放置され、それゆえにミニバンの中で暮らし続けるという奇行をやめることないまま、年老いてしまった。不思議で、奇妙な町だ。そういえば、子供のころ、あんな奇妙な老人がひとりやふたり近所にいたような気がする。

実在していたら、とんでもなく迷惑なんだろうなぁ。でも、どうしても憎めない不思議なおばあちゃん。

余談ですが、カープール・カラオケのジェームズ・コーデンと、俳優のドミニク・クーパーの親友コンビがカメオ出演していてちょっとビックリしました。出番は別々でしたが。

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うそつきかもめ