「国と世代を超えた壮大なストーリーに心地良い感動を得られた作品でした」ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
国と世代を超えた壮大なストーリーに心地良い感動を得られた作品でした
これは思いのほか良い映画でした。
滝田洋二郎監督×二宮和也主演の映画だけに、思いのほかと言う表現は失礼な気もするのですが、期待値の高さとは裏腹にそこまで評価も興行収入も上がってなかったようでしたから、もしかして失敗作だったのかなと自分の中でややトーンダウンした状態での鑑賞だったので・・・でも見てみたら私の心には十分響く内容で、思いのほか良かったです。
料理映画としての面白さ、ミステリー仕立ての謎解き要素、温かみのある人間ドラマ、そして家族と愛の物語、様々な要素がどれも程好く見応えがあって、見終わってとても心地良い余韻に浸れる一本だったなと思いましたよ。
エンドロールまで見応えがあって、全く飽きることなく楽しむことが出来ました。
ただ、現代パートと過去パートのバランスは、正直やや微妙かなと思いましたけどね・・・。
印象に残るのは、相当な割合で過去パートでしたから。
でも終わってみるとこれはやはり佐々木充の物語、徐々に謎が明らかになり、最後は全て繋がると言うその持って行き方自体は、まあさすがだなと思わされましたね。
二宮ファンはちょっと不満だったかも?
ただ二宮の演技があってこその物語だったのは間違いない事実、根底の部分がしっかりしていたからこそ、過去パートが生きたところもありましたからね、壮大なストーリーでありながら、実は一人の青年の再生と成長の物語と言う、その巧みな構成に何だかんだで満足させられた作品ではありました。
とは言え、回りくどさもここまでくるとと言った感じで、出来過ぎな感は否めませんでしたけどね、でもあの充のキャラを考えると、ここまでのことをするしかなかったでしょう、できればもっと充のキャラを掘り下げて描いてくれたら、更に説得力は上がった気がしました、それと彼の料理の腕前をもう少し見たかったかなぁ。
まあでも料理全般は、過去パートを中心に十分食欲はそそられました、どちらかと言えば身近な料理の方がおいしそうに見えましたかね(←単に高級料理に縁が無いからとも言える)、とにかくビーフカツサンドが食べたい、勿論出来ることなら大日本帝国食菜全席も食べてみたいですが・・・大穴なら綾野剛の黄金チャーハンか(笑)
しかしまあ過去パートは何かと心揺さぶられましたね、山形直太朗の志、彼を導いた妻の愛、そして支えた仲間達、政治的な部分の話は胸が苦しくなりましたが、国を、世代を超えた壮大な物語には、思わず涙でした。
そしてさすがの演技は宮崎あおいか、芯の強さと愛の深さにグッと惹き込まれた、それに応えた西島秀俊と、鎌田&楊を演じた若手2人(西畑大吾&兼松若人)の熱演も何気に印象深い作品でした。
まあ突っ込みどころは確かにありましたが、私はそれ以上に心地良い感動を得られたので、とりあえず見て損は無かったです、いい映画でした。