幸せなひとりぼっちのレビュー・感想・評価
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「おじいちゃん」に凝縮される大切なこと
突然だが、私は「おじいちゃん映画」が好きだ。おじいちゃんが主役の映画のことだ。
何故かはわからない。子どもの頃、いつもおじいちゃんの隣でご飯を食べていたからかもしれない。
「おじいちゃん」というのは、何をやるにしても独自のスタイルを持っている。そりゃそうだ、長らくそうやって生きてきたんだから。
その彼独自のスタイルがカッコ良かったり、可愛かったり、滑稽だったり、腹立たしかったりする。
おじいちゃんとは、とにかく魅力的な存在なのだ。
「幸せなひとりぼっち」のオーヴェも、もれなくそんな「俺スタイル」で生きているおじいちゃんである。
オーヴェの「俺スタイル」はとにかく厳格。○○禁止、の多いこと!敷地内車通り抜け禁止、犬の散歩禁止、門扉開放厳禁、ゴミ出しルールの徹底…。
ルールを守らぬ無法者の愚痴を亡き妻の墓前でぼやき、妻の元へ旅立とうとするオーヴェだが、隣家に越してきたパルヴァネたちの転居を手伝うことに。
それも車のトラブルがきっかけである。
放っときゃいいのに、わざわざ自殺を思いとどまって口出しするのである。
うーん、愛すべきおじいちゃんっぷり!
何度か試みる自殺だが、常に人生のヒヨッコどもの面倒をみるハメになって中止。
オーヴェが強く死を意識した時、亡き妻との思い出が走馬灯がわりに回想される演出も良い。
不器用ながらにコツコツ努力し、不幸に見舞われても理不尽な目にあっても、オーヴェは己の信念を曲げない。彼が父から学んだことは、自分が正しいと思った事に邁進することと、大切なものを守ることだからだ。
そんな不器用な自分を心から愛してくれた妻。彼女のように愛してくれる者などもういない。
親友もかつてのようではなくなり、積み上げてきた地域の暮らしも様変わりしてしまった。
頑なな所が災いして、他に親しい人もいない。
思うに、オーヴェは努力家であったがゆえに、何でも克服してきてしまい過ぎたのだ。上手くいかない状況や、お金の無さを工夫と技術でやって来た。
だから、自分の頑張りでは太刀打ち出来ない出来事を受け入れるのが難しかったのだと思う。
そこへ人生に迷うヒヨッコたちが助けを求めて来た。「こんな事も出来ないのか!」と呆れるオーヴェだが、オーヴェ自身は彼らに「人を頼る」事を教えてもらうのである。
自分が頑張り、自分が助け、ひとりぼっちで生きていると思っていたけれど、そこにはオーヴェに助けられ、オーヴェを頼り、オーヴェを気にかけている人たちがいたのだ。
オーヴェは自分が大きなハートを持っていて、みんなに頼られていることに、こんな人生の晩年まで気づいていなかったのである。
思えばオーヴェが地域の決まり事に対してうるさいのも、大切な妻や友人、知り合いを守る為だ。門扉が開いていれば不審者が入ってくるだろう。老人・子ども・障害者は車を避けられないかもしれないし、犬に噛まれたりするかもしれない。
ちょっとした綻びから家や家族を失ったオーヴェにとっては、自由であることより安全であることが大切な人を守るために優先されるべきことだっただけだ。
長らくそのスタイルで生きてきて、長らく他人に煙たがられ、ひとりぼっちだと思っていたオーヴェ。でもその「ひとりぼっち」は愛すべき「ひとりぼっち」であり、みんなにとってオーヴェは「ひとりぼっち」なんかではなかったのである。
だってオーヴェはいつだって、愛する人を思いやる優しい男だったのだから。
不器用でいじらしい、善き「おじいちゃん」映画である。
ひとりぼっちじゃない
見るからに気難しそうな親父。
ロープ買うも同じく。
お店にはお店の思惑があり、
客の思い通りにはいかないのだ。
若い店員が理解しているのに、オーヴェは⁉️
しかし、地域を守る為、
ゴミの選別、砂場の片付けして正しいことを言う。
会社、肩叩きし、餞別にシャベルって見下げている❓
自殺の準備、スーツ着て髭剃りして身支度、
〇〇を吊ろうとすると、窓の外に人が。
カーテン閉めれば良い、とかではなく、
それも性格上見過ごせない光景が、
怖いくらい運転下手なパトリック、
対するオーヴェ、運転上手く、何でも器用か。
朝から見回りして違反していると訂正。
オーヴェを悪く言うより、決まりを守るべきだな。
自転車を取りに来た、男の子、筋を通さないと。
不動産屋も失礼な態度。
またもや、○○しかけたら来客、
パルヴァネのペルシャ料理差し入れうまかった❗️
ハシゴを貸して、
地域の元旧友の妻がソーニャの話題を出すと、
怒り心頭に発してしまった‼️オーヴェ‼️
手のつけようがない。
ソーニャのこと言うと怒り出す‥‥その訳は❓
母を早くに亡くす。
父は車修理が好きで無口だが車のことを教えてくれた。父との思い出たくさん❣️
列車の機関士をしていた、が。
さりげなく道徳的なことも学ばせてくれた、財布の件。
またしても、だが、ロープが切れる←あり得ないからアメリカ🇺🇸は✖️か?
ルネがホースを引っ張るのは、❓❓❓
真の友情か。
愛車のサーブに乗ってCOガスで‥‥失敗。
父の葬儀後、父の職場に雇われる。
せっかく家の改修をしたのに、
火事の家から子供を救うが、自宅全焼。
住むところ無く列車で寝ていたら、
動き出し、ソーニャと出会う。
会いたくて毎朝6:30の電車に乗りやっと再会。
借りたお金を返そうとしたら、食事がいい、と。
スーツ着て花束💐持ってレストランに行くが、
お金無く自分は我慢。
恥ずかしく逃げようとしたら、ソーニャからキス❗️
付き合い教育資格取りプロポーズ💕
パルヴァネに頼まれ病院へ、
子供たちのお守り、なかなか上手いと思っていたが、
慰問のピエロに思い出のコインを取り違えられ
トラブルだったが、
子供もなつく優しいオーヴェ。
今度こそはと駅へ。
一足先に線路に落ちた人を躊躇なく助けて、
線路に立ちつくしていると周りの声。
またもやできず。
ケガしたネコを助けるパルヴァネだが、
オーヴェに押し付けた際に、
ソーニャの為車椅子でも家事ができるように改良した
キッチンを見てしまう。
イミーが来て場を和ませる。
パルヴァネに運転を教えようと名乗りをあげるオーヴェ
くじけそうなパルヴァネに、
イラン難民として困難を乗り越えて来たのだから
くじけるな‼️と、とうとうと諭すオーヴェ。
やはり素敵な人だ。
土曜日1:00、オーヴェ&ソーニャのカフェタイム、
パルヴァネと。
ルネとの回想、サーブ一筋のオーヴェと対照的に、
ボルボ→BMWに気移りしたルネに愛想を尽かし絶交。
おでかけ夫婦の為に子守り、キッチンの片付けもした。
ソーニャの教え子は普通の男子、
車の教習しつつ
修理した自転車を積んで行った店で
出会った教え子の友人がゲイ。
地元紙の記者がインタビューしに来た。
悪徳不動産会社、オーヴェのことを調べ上げていると言うが、何の権限で❓
オーヴェが泣くのは、
ソーニャとの回想。
笑顔でダンスしてパパになるわよ、と。
子供をなくし、さらにソーニャまで。
えっ、猟銃⁉️
下着で周りにビニール張り巡らせて、
さあ、と思ったら、
チャイム、絶妙なタイミング❗️
教え子の友人を泊めて欲しいと。
その子と朝食済ませて、見回り、イミーも来て一緒に。
ルネの情報入手、 怒り心頭に発するオーヴェ‼️
諭すパルヴァネ。こういうのがいい。
ソーニャとのバス旅行回想、
急勾配の坂を下り切れず大事故に、
病院に運ばれ命は助かったが、
ソーニャも目覚めたが、
動いていた赤ん坊は、‥‥⁉️
今を必死に生きるのよ、と、ソーニャの言葉。
活力出てスロープ作って採用される。
地元紙記者も加勢して、不動産屋撃退。
オーヴェ発作で倒れ、パルヴァネ産気づく。
オーヴェ&ソーニャの子供の為のゆりかごを
プレゼント❣️
上の子たちとも仲良し。
雪降る朝、雪かきしていないことに気づき、
オーヴェの姿を見つけるパルヴァネたち。
私のことを認めてくれた人だけの式、
という遺言だが、
入りきれないほどの参列者❗️
きちんときまりを守ろうとする住民。
ことあるごとにソーニャのお墓参りしていたオーヴェ。
いつもきれいな薔薇などの花束携えて。
今は出会って子供と三人仲良く過ごしていると願う。
コミカルで、感動的なドラマ
オットーという男というタイトルで、ハイウッドリメイクされた作品。リメイクを先に見ましたが、こちらのほうが、テンポが良く、内容も濃いですね。無駄な要素がかなり排除されつつ、主人公の半生が長めに描かれてました。
最期に死んでからアーニャに会えるシーンも本作ではしっかり描かれて良かったです。ハリウッド版見てる時も期待してたシーンだけどなかったので残念でしたので。
毎回毎回自殺を阻止されてしまうのはちょっと笑っちゃうけれどオーヴェ...
毎回毎回自殺を阻止されてしまうのはちょっと笑っちゃうけれどオーヴェが過去を大切にしながらもささやかな他者との関わりを通じて前進していく姿はグッと胸にきた。
ドライブしながら「生きてるって感じだろ」私も言いたい。
妻に先立たれた、偏屈爺さんの物語
妻に先立たれ、ひとりぼっちになった偏屈爺さん
まわりの人間とは衝突してばかり
自殺しようとするがうまくいかない
隣に引っ越してきた家族とも喧嘩する始末
ただ、この家族と交流するうちに少しずつ変わっていくという物語
映画の爺さんは、だんだん周りの人たちとうまく付き合うようになり
最後、亡くなった時にはたくさんの人たちが葬儀に訪れる
自分ももう50代半ば
自分が先か家内が先か・・・
他人事とは思えない映画だった
BS松竹東急を録画して鑑賞
ご近所付き合いも悪くない
この偏屈な主人公がはじめ本当に嫌いだった。
人に対して平気で暴言を吐く、全て自分が正しいと思っているクレーマーだ。猫や犬を脅かすし、周りの人に対しても思いやりがなさすぎる。
そして主人公だけでなく、犬を飼っている女性が、猫に石を投げていた。酷すぎる。フィクションだとしたってこんなシーン見たくないし、許せない。本当に気分の悪い映画だ。
途中で観るのをやめようか迷ったけれど、休憩をはさみ、気持ちを落ち着けつつ最後まで観た。
最後まで観てみれば、彼がどんな人なのか理解することが出来たし、最愛の人を亡くしひとりぼっちになった辛さ、心がいっぱいいっぱいであらゆることに苛立って仕方ない気持ちがよくわかった。私が同じ立場だったらやはり、人に優しくする余裕はないと思う。
彼が少しずつ心を開いて、周りの人のために行動する姿はとても良かった。どん底の心を救い上げるのは、人との関わりなのかな。
猫ちゃんも家族になり、一緒のベッドで寝たり、見回りについてくる様子が可愛くて癒やされた。
奥様との回想シーンは、彼にとって彼女がどれだけ特別な存在だったかが伝わってきて、胸を打たれた。若い頃のオーヴェの、ソーニャへの気持ちが溢れた繊細な演技が印象に残った。
ルネとの車のエピソードも面白かった。
サーブvsボルボ。どちらもスウェーデンの車なんだね。
パルヴァネが駐車練習中にボルボにぶつけて「上出来だ」のところは思わず吹き出してしまった。
最後に、奥様と出逢った列車で、元気な姿の奥様に会うことが出来て良かった。
音楽も良かった。
この映画は猫を虐める描写が無ければもっと高評価だった。
あったかい涙
偏屈なじじいが近所の人達との触れ合いによって
心を開いていくストーリー。
不器用なんだけども亡くなった妻への愛はとても深い。
妻が本当に女神のようによくできた人で
こんな女性であればたしかにそこまで思い続けても
当然だろうと思う。
いい人になってくると立ってくるフラグで
最後には観てても泣いてしまうのだけれど
再会の場面が静かで優しい光と愛に包まれている。
幸せになってよかったねと。
一人暮らしになったとしても、それは孤独を意味するわけでは無いよ、と。眼を開ければ、貴方を気にかける人がいることにきっと気が付きますよ、とこの作品はそう語りかけてくるようです。
最近観た作品(「オットーという男」)が
実はリメイク作品だったと知りました。
スウェーデン映画は余り観た記憶が無いので
どういったものかと興味が涌いて鑑賞。
◇
最愛の奥さんを亡くしたオーベ。
この世に未練は無いと、ソーニャの元に行こうと
自殺を試みるのですが、上手く行きません。
首吊りに排気ガスに列車飛び込み、そして猟銃 …うーん
そんなオーベの家の隣に引っ越してきた家族。
夫婦と娘二人、4人家族のパルパネ一家。
旦那はどうにも頼りない。車の運転もヘタ。
奥さんは移民らしい。料理が上手。
小さい娘二人は可愛い盛り。
そしてソーニャのお腹には3人目がいます。
ひっそりと妻の後を追うつもりのオーベ。
そうと知ってか知らずか、
何かと隣の奥さんがオーベに声をかけてきます。
娘二人のお守りを頼まれたり
車の運転を教えてほしいと請われたり と
ゆっくりと自殺を図る暇の無いオーベ (・_・;
オーベの家の近くには、今は不仲となってしまったけれど
この団地に引っ越して来た頃からの友も住んでいる。
その家を手に入れようと、悪徳不動産の魔の手が伸びる。 …むむ。
パルパネ一家との交流を経て、不仲の原因は過去の自分にもあったと
そう気が付くオーベ。
#このままにしておけるものか と
旧友の立ち退きを阻止するべく、行動を開始するオーベ。
さあどうなる。 というお話。
実の父。奥さん。
今は居なくなってしまった大切な人たち。
彼らへの想いがどれだけ大事だったかを丁寧に描きながら
新しい隣人との
#新たに生まれる大切なもの
を描き出したとてもハートフルな作品でした。
「オットー」がきっかけでの鑑賞でしたが
こちらの作品も、とても良いですね。
観て良かった。うん。
◇
野暮とは思いつつ
「幸せな」と「オットー」の比較などを少々。
■「幸せな」では
オーベの少年期のエピソードが丁寧に描かれています。
特に「父」との関わり。
母を病気で亡くし、父との二人暮らしに。 そして、
事故により突然の一人暮らしへ。 激動の青年期。
そんな中での「ソーニャ」との出会い。それは
大事なものを失い続けたオーベに訪れた人生の分岐点。
大切なものが減り続けた中で、大事な人が増えたオーベの
喜びは、容易に想像ができます。
その最愛の妻を病気で失い、また訪れた喪失感と絶望。
「幸せな」のストーリーは、冒頭からオーベが妻を失った
事を明らかにしているのですが、過去のエピソードの丁寧な
振り返りによって、よりオーベに共感し易くなっています。
■「オットー」では
父との関わりは、余り詳しくは描かれず省略気味。 あらまぁ
一方、妻ソーニャとの過去のエピソードは「幸せな」とほぼ同じ
くらいの内容が描かれます。
ですが、この作品の始まりの時点では、
「ソーニャが故人であることが、はっきりとは描かれていない」 のです。
それが、小さいようで大きな違い の気がしました。
オットーの「過去から現在へ」 と至る内面の葛藤(成長?)の描写は
極力抑え気味にして、その分家を奪われそうな旧き友人を助けるという
エピソードに重点を置き、エンターテイメント的な演出で見せ場を作る
そんな演出をしているように感じられました。
■まとめ
ストーリーの骨子は変わらないのですが
制作した国の「お国柄」が出てるのかなぁ …と
そんな気もしました。
スウェーデン と アメリカ
サーブとボルボは シボレーとフォードに
トルコ移民は メキシコ移民に
※トルコ移民というと、パルパネさんは
クルド人の設定なのかなぁ…
(原作が気になってきました)
最後は観る側の好みの問題なのでしょうが
この作品で描かれる人物の心理描写の細やかさは
とても好きです。
◇最後に
お葬式。
"私の事を認めてくれた人だけを呼んで欲しい”
そう遺言に書き残していた主人公。
教会の礼拝堂。
入口付近まで弔問客で一杯になった様子が映る。
こんなにも沢山の人が惜しんでくれている。
”貴方の人生、捨てたものじゃないわ”
そんなソーニャの声が聞こえて来るような気がしました。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
正直で善人。だが頑固者
鑑賞後の気持ち
この世から目を背けてたお爺さんが半ば強制的に世界と関わらされた。死を望む人生から死を待つ人生に変わることができた。頑固者という人柄に目がいきがちだが、「根っからの善人で正直者」という彼の人柄に周りの人は手を差し伸べたということを勘違いしてはいけないと思う。
鑑賞後の心の変化
まっすぐ進むことでしか得られないものがある
鑑賞後の行動の変化
どんなに自分の状況が苦しくても他人を傷つけていいわけではない。だからずっと優しくありたいと思った。
好きなシーン
奥さん以外の人間はどうでもいいと言えるシーン
嫌いなシーン
白シャツ全員
わかってくれる人たち
号泣。
偏屈な主人公だと思ってたら、お隣一家が引越ししてきてから、いろいろな人との関わりができて、自殺を考えてたのにそのタイミングでお隣さんが訪ねてきたり、他の人が訪ねてきたりと少しずつ優しさが見られた。
猫に石を投げてた女性に怒って猫を助けたけど、ねこにもしかったり、ゲイの店長さんへの質問も単純にゲイかきいただけやし、とにかく真っ直ぐな人でした。
友だちが施設に入れられそうになったときや、奥さんがバスの事故で車椅子になったときとか、本当に真っ直ぐで泣けました。最後も幸せを感じる終わり方でした。
生きている感じがするだろう
彼はちょっと変わり者だけど信念があって本当はとってもいい人 面倒味のある人 素敵な人
妻が彼の一番の理解者だった。そんな大好きな妻を亡くして悲しくて寂しくて生きているのが辛かった。幾度となく自殺を図ろうとしたがその度に声かけられて周りの人たちに必要とされて生きることが出来た。人生を全うすることが出来てよかった。
コメディを交えて描く配偶者亡き後の人生
最愛の妻に先立たれ、自宅で後追い自殺を図る男性。でも、向かいに無遠慮な若い家族が引越してきて、頑固だが善人の主人公は力を貸してやり、その結果自殺は何度も阻まれる。そうこうするうちに仲良くなった人懐っこいが移民系で苦労人の若い母親に自分語りをすることで、多分心の整理がついたのだろう、自殺企図はなくなり、隣人頼りにもされ、幸せな最期を迎えるお話。
役人への批判や友人との愛車(ボルボvsサーブ&ドイツ車)をめぐる競争など、ちょいちょい面白いブラックなエピソードが入りながらも、基本的には最愛の女性と巡り合ってその女性のために尽くした人生であり、それで幸せな最期が迎えられるよう神さまが配慮したのかな、なんて思ってしまい少し泣けた。いい映画だった。
【”真の善人とは” 頑固で偏屈だが、”筋をきっちり通す”男の人生を通じて描き出した作品。ヒューマン・コメディの優秀作でもある。】
ーこの作品が、クスリと笑うシーンを塗しながらも、観ている側の心に深く染み入るのは、
・”偏屈だが、筋をきっちり通す”男、オーヴェの人生が、若い頃からしっかりと描かれ、彼の現在の気質、行動の理由が見ている側にきちんと伝わるからだろう。
・オーヴェの根本にある、善性、正義感がどのように育まれたのか、何故彼は孤独で偏屈な男になったのかが、良く分かるのである。-
<以下は、ネタバレを含むので、鑑賞前の方はここで一時、止めて下さい。>
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オーヴェは59歳。勤続43年の会社も馘になり、亡き妻ソーニャの遺影に語りかける日々。
だが、街の規律を守るための”見回り”は欠かさない。(で、変人、偏屈と言われてしまう)
一切、笑わないし、口癖は”バカめ!”である・・。
■切なくも、可笑しきシーン
・オーヴェは亡き妻の遺影に”寂しいよ・・・”と語り掛け、首を括ろうとすると、ペルシャ人の夫婦(パルヴァネ&パトリック:特にオーヴェが”率直に話すパルヴァネと交流を深めていくシーンの素敵な事。)が隣家に越して来て、車を上手く車庫に入れられず、”憮然”とした表情で車庫に入れてあげるシーン。
・で、漸く首を括ろうとすると”ピンポーン”と呼び鈴が鳴る・・。(可成り可笑しい・・)
その後も、ライフル自殺しようとすると、”ピンポーン”・・とても、可笑しい。
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若きオーヴェとソーニャの列車内での出会いの素敵なシーンや、オーヴェが父譲りの正義感である事が描かれる。-上手いし、良い。-
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且つて、共に町の規律を維持していたルネは重度の車椅子生活。妻、アニタはルネを施設に入れようとしない・・。
そして、アニタはオーヴェには色々と頼みごとをする。ブツブツ言いながらも手助けするオーヴェ。(同様のシーン、多数あり。町の人々がオーヴェを頼っている事が良く分かる。良いなあ。)
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■”母国スウェーデン愛溢れる”シーン
ルネの愛車はボルボ、オーヴェの愛車はサーブ。モデルチェンジの度に買い替える二人だが、(楽しい競争)ある日、ルネはBMWを購入し、決定的に決裂するシーン。
-今作はスウェーデンで大ヒットした作品だが、設定が絶妙に上手い。ルネ、BMWはなあ・・。
■”白シャツ”との対峙シーン
小役人、”白シャツ”を敵視するオーヴェの姿。強引にルネを施設に入れる事に対して・・・、と思っていたら真実が後半描かれる。
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そして、子供が出来たソーニャとのバス旅行で、大変な出来事が起きるが・・。
脚が不自由になっても、教師になる夢を諦めないソーニャのために奮闘するオーヴェの姿。
ーもう。ここら辺から目が潤んでくる・・。ー
ソーニャのニッコリ微笑んで口にする言葉が素晴らしい。
”今を必死に生きるのよ・・”
そして、ルネを施設に引き取りに来た”白シャツ”への強烈な一撃。
だが、オーヴェはその後、肥大した心臓のせいで、昏倒。
目を開けると、パルヴァネが優しく微笑みながら、
”本当に死ぬのが、下手くそね・・”
パルヴァネの3人目の子供も含めて、久しぶりの笑顔を浮かべて遊ぶオーヴェの幸せそうな姿・・。
<オーヴェが何度も自殺に失敗する理由が良く分かるし、(ソーニャの言葉・・)パルヴァネはどう考えても、ソーニャの分身でしょう・・。
”大きな存在は”、”真の善人”の事をいつも優しく見守っているのだ。
スウェーデンから届けられた、とても素敵な物語である。>
近所の奥さんが好き
主人公のお爺ちゃん出てきた時はほんと近所の頑固なクソじじいなんですけど、一見クソに見える行動や性格も送ってきた人生や長所を知ってしまうとこの人の魅力の延長線上に乗っている良いところの一部として受け取れる様になってしまう。クソクソ言ってすみませんw
でもお爺ちゃんとの接点を持てば持つほど彼の素敵なところを知れるし好きになる。
周りの登場人物も初見は悪目の印象が目立つけど一歩踏み込むと日々をそれぞれに生きる普通の人たちでそれが良い。
特に隣の奥さんとの交流とこれ絶対死なんだろーな自殺フラグが最高です。
その人と接点が無いからクソ野郎に見えるだけで、人を知るだけで悪くも良くも見える面が個性として輝いて見え優しい気持ちになります。
個人的にお爺ちゃんの性格が最後まで変わったりする事もなく、周囲と交流する事で行動が増え自然と誤解が解けて埋もれた魅力を掘り起こされていくところがとても好きです。あと物語全体を支える妻への愛情。
人を一面でしか見られなくなる時があるのでそんな時に見直したい映画。
開き直りが目障り
設定が「わたしは、ダニエル・ブレイク」と似ているので既視感がある、原題も「オーヴェと呼ばれる男」で似通っている、ダニエルの方はバリバリの社会派ドラマだったがこちらは暴走老人と好好爺の遷移プロセスを愉しむコメディ仕立ての感動作狙い。コメディと言っても役者の表情はぶきっらぼうだし言語の壁があるので受けにくい。同じスェーデン車でも丸っこいサーブと四角いボルボは対照的、愛車への拘りが強いのは万国共通かも。
なぜ年をとると偏屈になるのか、若い頃からの軌跡をたどっても人生は人それぞれ、悲運だったからと言って同情はするが誰もが偏屈になる訳ではない、表向きの顔と心の内は違って当然。
冒頭から規則を守れと怒鳴りまくるくせに首つり自殺すればどれだけ周囲に迷惑かけるかなんて考えもしない身勝手さに唖然、一旦感情移入に失敗すると後が辛い。とりなすように過去の悲劇で同情心を募ったり、ほんとは淋しがり屋で優しい心根の好好爺と懐柔してゆく様をいかにもドラマチックに見せてくれるが言葉の壁のせいか風情やニュアンスが伝わってこないし感動作を作りたいという作家の計算ばかりが垣間見えて素直に酔えなかった、かくいう私も偏屈老人の資質には恵まれているようだ・・。
あったかいような、切ないような。 幸せなこともあったけど悲しいこと...
あったかいような、切ないような。
幸せなこともあったけど悲しいこともたくさん経験して結果的に偏屈な年寄りになってしまったけれど、元々悪い人ではなくて根はとても真っ直ぐで優しい。
周りの人たちにもそれがちゃんと伝わってることがお葬式の場面で分かる。
ユーモアとコメディチックと思いきや…
気軽に観てみると、そうではなく良い感動の涙が流せた作品でした。
決まり通りにいかないとイライラする偏屈爺さん
偏屈になったワケが徐々に明らかになっていきます。
所々にあるユーモアも良かった。
若い頃を振り返るタイミングも良かったです。
ジンワリ感動し、泣けました。
全32件中、1~20件目を表示