「苦手意識のある西部劇でも楽しめた、観やすい作品でした。」マグニフィセント・セブン よしさんの映画レビュー(感想・評価)
苦手意識のある西部劇でも楽しめた、観やすい作品でした。
街を暴力で乗っ取ろうとする資産家に対抗して集められた、7人のガンマンの物語。
「7人の侍」をリメイクした「荒野の7人」。その「荒野の7人」のリメイク作品です。
「7人の侍」は鑑賞済み。「荒野の7人」は未鑑賞です。
正直言って、西部劇は苦手な分野なのですが、流石に元ネタを知っているので見やすく感じました。
俳優陣の魅力はたっぷりです。個人的にお気に入りのデンゼル・ワシントンは勿論、この映画ではイーサン・ホークとヘンリー・ベネットが特に魅力的でした。
引き金を引けずに戸惑い、引き金を引くことに恐怖するイーサン・ホーク。
男どもを鼓舞して戦い、それでも目の前の敵に茫然自失するヘンリー・ベネット。二人とも素晴らしい演技でした。
クライマックスを含めて、ガンファイトは迫力十分で、とても楽しめる西部劇でした。
ただ、どうしても「7人の侍」と比べてしまうと、浅さを感じてしまいます。
戦乱が終わり、死に場所を探していた侍たち。だから彼等は「コメ」だけで死地に赴いた。
それと比較して、この映画の7人は何を求めて戦ったのでしょうか?なまじ色々な人種、色々な境遇の人間を集めているので、分かり難さを感じます。
逆に、ラストで語られた主人公の動機には納得感がありません。ラスボスへの復讐譚は構いませんが、それを隠して仲間を集めてしまっては、彼の求めに応じて死地に赴いた6人は何だったのでしょうか?
アメリカと日本では、文化というか死生観が違うので仕方がないのかもしれませんが、少し釈然としない思いです。
その他、クライマックスでは敵味方入り乱れてしまい、少し分かり難さを感じたのも難点です。
同じく、クライマックスでは、イーサン・ホークの使い方が勿体ないと感じました。「ガトリング砲だ!」と叫びながら戻ってきても、結局直ぐに乱射されていて・・・ガトリング砲を潰す為にイーサンホークが戻って来た・・・なら、もっと劇的に感じられたように思います。
そして最後に、イ・ビョンホンの扱い。東洋人ということもあってか、色物扱いになっていて個人的には納得感がありません。「普通のガンマン」と言う設定には出来なかったのでしょうか?また、なまじナイフ使いにするなら、真田広之を起用して日本刀を持たせて欲しかった。「七人の侍」のリメイクだけに残念に感じました。(ただ、当時のアメリカには日本人は殆ど入植していなかったので、そこ迄は難しかったかもしれません。中国人は、「苦力」として奴隷同然のように連れて来られていたようですけど)