「今だからこそ観たかった映画」マグニフィセント・セブン Nagaさんの映画レビュー(感想・評価)
今だからこそ観たかった映画
特殊効果やCG全盛の今だからこそ、火薬がズド~ン、派手な銃撃戦、そんなアナログに心くすぐられる人も多い。
そんな人を満足させるためだけに作られたのがこの映画だ。
そして何といっても、荒野の七人のリメイクという、往年の西部劇ファンにはたまらない要素をこれでもか、と詰め込んだこの作品。
何がすごいって、デンゼル・ワシントンの無双っぷり。
敵の攻撃が当たらない当たらない。
逆にこっちは、一撃で相手をバッタバッタとなぎ倒す。
もういい年だろうに、けっこうアクションもこなすのね、というかやっぱりスタントマンだろうけど。
そんな時代劇のような予定調和もありつつ、そこは現代的にリアル間も出しつつ、物語は進んでいく。
あとは仲間になる7人+町の女性エマの活躍っぷりにどっぷり浸ればよい。
ただ、7人の属性をこれほどバラバラにする必要はあったのだろうか、というのも疑問だが。
南北戦争の後が舞台だが、戦争終結が1865年で、この話はそれから10年後くらい経ってる雰囲気だから1870年代だろうか。
その時代に、黒人でいくつもの地域を管轄する保安管理官がいるのかな?とちょっと疑問。
しかも舞台設定は不明だが、サクラメントから3日くらいの距離ということで、カリフォルニアかアリゾナだろう。
その地域では、まだまだ黒人に対する偏見は根強かっただろうに…。
また、なんでこんなところに東洋人がってのもあるしw
ただこの時代はゴールドラッシュの労働力として、中国から大量の移民がカリフォルニアにわたっていたので、やはり中国人の設定っぽいな。
でも荒野の七人へのオマージュで、ここはやはり日本人を参戦させて欲しかったと思うのは私だけだろうが…。
でも実際に観始めたら、あんまり気にならなかった。
それぞれキャラがしっかり立っていたというのが大きい。
主人公の黒人賞金稼ぎ、チザム。
ギャンブラーのファラデー。
伝説のスナイパーだけど人が撃てなくなっているグッドナイト。
ナイフ使いの東洋人、ビリー。
巨漢で斧使いのジャック。
弓の名手でコマンチ族のレッドハーベスト。
賞金首のメキシカン、バスケス。
とまあしっかり個性が発揮されていた。
しいて言えば、ファラデーとバスケスが、画面で見たとき一瞬どっちだっけ?となってしまうシーンがあったが。
日本人にとって、アングロサクソンとメキシカンは、一瞬ではなかなか見分けられないんだよね~。
しかもどちらもイケメンキャラだし。
それに対する悪役のバーソロミュー・ホークに立ち向かうわけだが。
なんかワン●ースの敵役を合体させたような名前で、個人的にはヒットw
これがまあ、憎らしい役作りをしてくれている。
こういう勧善懲悪は、敵役のキャラが弱いと話にならない。
その点、ここでもしっかりキャラ立ちしてくれている。
実際の物語は、四分の一が最初の悪役によって町がいじめられるシーン。
そして四分の一がクライマックスの戦闘シーン。
で物語の約半分、つまり大半を占めるのが仲間集めシーン。
次々仲間が集まっていくシーンは、強引以外の何物でもない。
え?なんでこれで仲間になっちゃうの?
と疑問の余地を挟むことなく7人が集結。
力技で一気に集めてみました、といったところか。
で最後のカタルシスである大規模戦闘シーンに話が移るのだが。
この時点で残り30分。
時間こそ短いが、見ごたえがあったため、もっと長く感じた。
でもガトリングガンが強すぎでしょ。
さすがにあそこまで強くない。
と心の中でツッコミつつも、爆炎と硝煙の香りでごまかされてしまったw
実際、敵だけでなく仲間もバッタバッタと死んでいく。
もちろん主人公と仲間の7人はだいぶ補正が働くが。
大男のジャックなんて、走りもしない、隠れもしないのにぜんぜん弾が当たらない。
でも町の人はゴロゴロ死んでいく。
その辺が今なりのリアル感を出す演出なのかもね。
そして7人のうち、何人かも倒れるが、無事に町を救ってハッピーエンド。
これはお約束。
でもバーソロミュー・ホークは最後にもうちょっと粘ってもらいたかったな。
あまりにも主人公との差がありすぎ。
もっとも、エンディングの見せ場はここではなく、物語が終わってテロップがながれてからだろう。
ここで荒野の七人のテーマ曲が!!!
これはたまらん。
という人が多いだろう。
とまあ好き嫌いは分かれるが、西部劇が好きな人、好きだった人、などは十分楽しめる作品でした。