「いい作品だからこそのもやもや」カーズ クロスロード hideaquiさんの映画レビュー(感想・評価)
いい作品だからこそのもやもや
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なんだろう、このもやもやは。
いや、そのもやもやの正体はとても個人的なことで、多分わかっているのだけれど、ネタバレなしに書けない。
無意識をアメリカに占領されている自覚は常にある。
たぶんそれは、まだ幼稚園に通っていたころ、TBSの朝の番組でジョン・デンバーを聴かされていたころにさかのぼる。カントリーやグリーングラスを聴くことも多かったし、スプリングスティーンやジョン・メレンキャンプもよく聞いた。ロッキーも見た。大草原の小さな家も見た。奥田民生の「エンジン」のギターなんて、もう琴線が震え切れそうだし。
スポーツエンタテインメントビジネス、コマーシャリズム、マーケティング、セイバーメトリクス、最新のトレーニング理論に踊らされている自覚もある。さらに言えばMBA的メソッドとかグローバル人材とか意識高い系とか。
古いタイプの人間がボロボロになるまで続ける美学とか、世代交代に抗う難しさとか、先達への敬意とか、若者への壁になりながら成長を促すとか、変わっていく時代とどう折り合いをつけるかとか、アメリカンドリームとか。
でも、手放しでおもしろかったとは言いがたいもやもやが残る。それがこの作品を作った人々の意図したものだったとしたら、やっぱり僕は無意識をアメリカに占領されている証左なのかも。
トランプさんを大統領に選ぶ人々と、この作品に歓喜する人々が、かなり重なるだろう状況をも飲み込むのがアメリカなんだな。
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