「自分とかぶる」カーズ クロスロード いすゞのトラックさんの映画レビュー(感想・評価)
自分とかぶる
車好き同志で見に行ってきましたが、仕事終わってからなので近所に吹き替え版しか夜やってるとこがなく、その代わりカテゴリー上子ども向け映画のためかその時間は席ガラガラでした。
観ればこれは立派な大人向け映画。ビジネスの厳しさも描かれ、会社の売却や買収など経営者ならではの苦渋の決断(ダッジ兄弟、持ち前のポジティブさで余計泣かせてくれる!)もあり、子どもにはちょっと難しかったかも?
「絵が素晴らしい、キャラが魅力的、車好きにしか分からない細かい演出のクオリティに磨きがかかった、制作者の車への愛を感じる」という点では同意見。
でもやっぱり「マックイーンに復活して欲しかった」「いやいや引け際が立派」というところで意見が分かれました。
自分はマックイーンの選択肯定派です。
考えてみたら「あしたのジョー」も好きだけど最後はやっぱり負けてるし亡くなったか廃人になったのか未だに分からないにせよ最悪のラストとも言えるし・・・。確かに最後まで独りで闘ったが孤独とある意味自己満足をフィーチャーしたあしたのジョーのラストより、カーズの方がいろんな登場人物との絡みが暖かく見終わった後が気持ちがいい。
かと言って返り咲くのはそんなに簡単なことじゃない。
マックイーンは等身大の選択を示してくれたと言えましょう。
そう言えば段平のおっちゃんも怪我して現役を退いてジョーを育てる訳だし星飛雄馬のお父さんとかもそのパターンだよね?
カーズでも1作目では大昔に大クラッシュでレースに復活出来なかったドック・ハドソンがマックイーンにノウハウを教えるけど、教えを乞うた本人がめぐりめぐって自分も人を育てる立場になるところまで描いたのはスポ根モノでは初めてのパターンかも(私が知らないだけだったらすみません)?
いずれにしろ自分は現役で居られなくなっても、業界が大好きな人たちの選ぶ道でもあるんだよね。
頑張って頑張って頑張った上での選択。大人になったらそれを受け容れないと始まらないこともある。
声優さんも同じなのに1作目より大人の魅力を醸している場面があってマックイーンがセクシーです。
マックイーンのボディにハイテクの改造を施すことも現実では不可能な技術では無いが、それだと人間が観て親近感を感じ感動出来る映画にはならないと思います。
ラミレスのKYぶりが酷く、え、彼女に!?というのは思ったけど(プログラムのキャラ説に書いてある経歴から感じるイメージではなく、うるさくて生意気なバカ女っぽい。吹き替えのせいだとしてもこれはこれで熱演)、確かに彼女も頭でっかちで無礼者でキャーキャーゲラゲラ姦しいギャルっぷりでイマドキの精神構造の子なんですよね。そういう意味ではこれからの人(車か)。マックイーンのプライドにとどめを刺した感はあるものの、潔く受け容れたマックイーンの中には様々な葛藤があったことでしょう。
でも、何だか今回は「女性の強さ」も描かれてるように感じました。リジー、ルイーズ、ミス・フリッター。それぞれのキャラでラミレスを応援してもいます。
今回はルイジとグイドが大活躍、出番多し。BGMも1作目のカントリーやブルース、オールデイズから一転、イマドキの音楽でレースの緊張感を盛り上げていますね。
個人的には1作目同様何度もヘビロテして観たい映画。40代後半運転手の自分も最近そうした岐路を迎えたので。
ちなみに1〜2はDVDでしか観てないのですが、レースメインの絵面なのでやはり映画館ならではの迫力が良かったです。でも早くDVD出ないかな(笑)
何度も観ると、より一層深さが分かる名作だと思います。