「史上最ウツ映画になってしまった。」カーズ クロスロード 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)
史上最ウツ映画になってしまった。
映画の出来が酷いとかそういった感想は出てこず、ただ1つ言えることはおそらく今年一番の、そして人生で一番の鬱映画に出逢ってしまったということだ。
カーズ クロスロードは、2パターンのメッセージ性を持っている。
1つは自分の生き甲斐を1つに決めなくてもいいということ。輝けるステージはきっと幾つもあり、周りに流されず自分で選べるのだという事。
もう1つは、ダメになったらどんなに頑張ってもダメだ、若い者に譲って引っ込めという事。私には痛烈にこちらが響いた。
耳も聞こえないような老いぼれ呼ばわりされ、再生を目指してトレーニングを始めるもトレーナーのクルーズに足を引っ張られ、自分の練習もろくにできず逆に彼女に走り方を教える立場に。右往左往しスモーキーに会いにドック・ハドソンのレース場を訪れ、やっとまともにトレーニングを開始し自分の走りを取り戻したと思うも束の間、レース開始直前の練習でクルーズにまたも勝てない。そのまま大会を迎えてしまう。嫌な予感しか残さない。
けれどカーズファンは、それでもマックィーンを信じるだろう。きっと大会のさなかに見出すのだ、新しい自分を。そしてスモーキー達ベテランに教わった走りを駆使し若手ライバルを追い抜き、再び首位に輝くのだと。たとえそこで引退するとしてもだ。ワンチャン、ドック・ハドソンが来ちゃうかも?(作中では明らかに故人扱いだけど明言されてないから期待を捨てきれない感)なんてね。
しかしマックィーンは何の活躍も見せないままちょびっと走ってからピットイン。何とクルーズにレースを譲り、ピットリーダーとして彼女をアシスト。スモーキー達に教わったテクを逐一披露したのは彼女で、見事優勝。
大会後、引退のタイミングを自分で選べることになったマックィーンはサリーからの問いに「レースを続けるよ!」と元気に応えるのに、エンドロール前にボディペイントをドック・カラーに!!ちょ、おい待てよなんで?!?全然やる気ないじゃん!!
案の定、エンドロールに流れる写真は完全にピットクルー化したマックィーン…。
若い世代に交代するのもいいよ。でも、あのレースだけは最後までマックィーンが走ってよ。何でクルーズにすべての花を持たせる必要があったのだろう…?
レースを譲られた彼女、エンジンは早いものを搭載していたようだけど、ストームの背後にアッサリとくっつけるような疾さを何故持ってるの?納得いくわけもなく。
マックィーンは負けた。
そして事故った。復帰後新しいトレーニングを開始した。うまくいかない。
ドックの師匠に出会い、また何か掴み始めた。だけどやっぱり勝てない。そのまま大会へ。
突然クルーズにレースを譲ってアシストに。
クルーズ優勝。マックィーンはボディを塗り替え、ドックの如くピットリーダーに…。これはそういう映画だ。頑張ってもだめなんだ。
他のレビュワーが、これはカーズ3とは別の映画だと述べていたけどそう思いたい。
クロスロードっていうくらいだから、分岐の片方のバッドエンドが本作なんだよね?早くハッピーエンドの方も公開頼むよ!こんなんじゃマックィーンファンが報われないよ〜!!:;(∩´﹏`∩);: