「Thank you ,again」パージ:大統領令 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
Thank you ,again
『20世紀少年』のオープニングと被ってしまったTレックスの「20th Century Boy」。そこで家族が皆殺しにされたチャーリー・ローン上院議員が18年後に反パージを掲げて大統領選に打って出る。パージの日には、人殺ししてもOKな日に隠れてしまったのでは自分のポリシーと合わないと、10人ほどの警備員だけ置いて自宅で過ごそうとしていた。ところがそのSP達の半数は裏切り者!信頼できるのはレオ一人となってしまった。
一方、駄菓子屋(?)を経営するジョーとその仲間たちは女子高生ギャングに狙われていたが、やっぱりパージの夜にやってきた。豆電球いっぱい付けた車で、まるでハロウィンみたいに仮装してチョコバーをねだる。
あっち行ったりこっち行ったりと、展開が早くて目が回りそうになった。つまりはローンは反パージを訴える民主党もどきの陣営、パージ存続を推すのは全米ライフル協会や白人至上主義者、パージ信奉の教会NFFAが母体の共和党もどき。人殺し反対のローンが人殺し賛成のあちこちの団体から狙われるという構図だ。
支持者も多いので、ジョーとマルコスや元ギャングのレイニー(ベティ・ガブリエル)によって何度も助けられる。そしてセーフティ・ゾーンであるトリアージ・センターという中立地帯にたどり着くのだが、そこの創設者ビショップはパージ法を逆に利用してNFFAの対立候補を暗殺しようとしていたのだ。
反人殺しの立場なんだから、対立候補を殺してしまったのでは意味がない!奴は殉教者として崇められるから、こっちの負けよ!などとローンは主張。たしかに、このままではテロリストと同じだわなぁ・・・。などとローン側の立場はよくわかるが、逆に考えると対立候補側が彼女を暗殺するより、自分たちを殺させた方が得策だとも思った。
それにしても、一作目ではパージ法を成立させる目的は失業者を減らすと言ってたから、実は貧困層いじめでしかなかったとする今作は、政治経済の現状をかなり皮肉っているのだと実感できました。社会問題としても、黒人や移民が経済的に冷遇されている現状。登場人物も黒人が多いところで表現しています。よくぞまぁ、ここまで描いたもんだと拍手を送りたくなりますが、トランプが当選してしまってからの公開というのも残念でしかない。
新作出ますね!「ハンガーゲーム」や「トータルリコール」もそうですが、近未来の狂った設定、世界観おもしろいですよね。実現したら真っ先にグリロさんについていこうと思います。