劇場公開日 2018年3月21日

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「新しい曇天の世界」曇天に笑う あたりめさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0新しい曇天の世界

2018年3月22日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

萌える

原作連載当初からのファンです。アニメも外伝映画含め全て観ています。
映画には詳しくないので、あくまで原作ファンとして観た感想をネタバレなしに述べます。

まず、内容は原作とかなり違います。設定やストーリーが所々異なるので、完全に原作通りでないと受け付けられない方には向きません。登場人物も削られています。
それでも個人的にはあの短い時間にうまくまとめたなと感じました。
細かい違いはあれど、キャラクターはだいたい原作通りの印象を受けました。(中には映画オリジナルキャラクターもいますが)
特に金城白子役の桐山漣さんと安倍蒼世役の古川雄輝さんの演技は、原作のキャラを大切にしていて、素敵でした。共に細かい仕草や表情の変化、それこそ瞬き一つまで徹底的に役に入り込んでいました。そこから読み取れる感情が多い役どころだと思うので、ぜひ注目してほしいです。
いわゆる大根役者がいなかったので、演技に違和感を覚えることはなかったです。そのおかげで、最初は原作との違いに上手く入り込めなかった私も次第に映画の世界に入ることができました。

俳優さんのファンの方は純粋に楽しめると思います。アクションが本当にかっこよかったです。
福士蒼汰さん演じる曇天火の鉄扇を使った殺陣には目を奪われました。鮮やかの一言!スタントなしと聞いていたので、感嘆しました。他、中山優馬さんの曇空丸、犲のみなのアクションもかっこよかったです。天火に比べて殺陣の場面が少ないのが寂しく感じるほどに。

映像に関しては、最初のお祭りのシーンの艶やかさ、獄門処の重苦しい光景が印象的でした。
大津に生きる人々の息遣いが感じられて、これは実写ならではの良さでした。

監督が「萌え」を意識して撮影されていたとのことですが、見ていてわざとらしいシーンがあるようには感じませんでした。自然に「かっこいい」と感じる点があったくらいです。

良くも悪くも物語に深みや重みがある作品ではないと感じました。伏線らしいものもありません。重厚なストーリーを好む方が楽しめるかは疑問です。
ただ、難しいことを考える必要がないので、ひたすら映像美や俳優陣の演技・アクション、そして登場人物の織りなす様々な関係を楽しめると思います。
古川雄輝さんがインタビューで仰っていたとおり、「観終わったあとにスカッとできる」映画だと思います。老若男女問わず、楽しめる人は楽しめるエンターテイメントなのではないでしょうか。

原作とは違う、ifの曇天に笑うの誕生だと考えています。
私はとても楽しめました。すでに二回観ていますが、まだ数回観たいと考えています。

あたりめ