「カバネリって"劇場版"で真に完成したんじゃない?」甲鉄城のカバネリ 総集編 前編 集う光 平田 一さんの映画レビュー(感想・評価)
カバネリって"劇場版"で真に完成したんじゃない?
やはり荒木監督は”原作もの(TVシリーズを再編集した劇場映画ですからね)”だと映えますね。采配ぶりが落ち着いてて、何を描いて伝えたいかが、大分ハッキリ見えてくるので、安心して見れますね。
顕著なのは103分の間のシーンの取捨選択。前編が言ってしまえば”カバネリ甲鉄城編”ですし、必然的に甲鉄城の内部がドラマの主軸となる。そうなると何をテーマに描くか分かってないとダメだし、分かってないと手腕があろうと、きっと寒い出来のはず。いや見る前正直言うと、”大丈夫か?”と心配でした。監督は作品への気合いが大分ある方ですが、オリジナルのまとめ方が巧い方とは言えぬので…(『ギルクラ』は好きですけど、直してほしい箇所は多くて)。
そしたら見事にその危惧を吹っ飛ばしてくれました。”結束”をテーマに絞った話の流れが爽快ですし、城内の疑心暗鬼が協力へと変わる流れ。そこがTVシリーズよりもかなりスムーズでしたね(疑心を来栖に担わせるのが、個人的にはナイスでした)。カバネの猛威も惜しみなしだし、甲鉄城の走りと外観。何もかもがディストピア映画好きへのご褒美ですね(地味に僕は『デス・レース』とか『マッドマックス』大好きなので。あ、『怒りのデス・ロード』です)。破壊描写も満載ですので、ベイ映画好きにも良し。男の子が好きなもの、全部詰まってますからねw
新カットと没カット(PV第一弾最初のカット、それから2カット、13カット、19カット、37カット目に映るカバネです。あとPV数えてみたら、全部で40カットでした)も予想よりも詰まってますし、TVシリーズを既に知ってる方も新鮮に見れますよ。まあ黒けぶりのデザインが某ジブリ映画感満載なので、残念ながらそこで星を引かせていただきましたが。
とはいえ信じられませんが総集編前編、凄いです。総集編映画史上、かなりの上位に食い込むかと。さて、次なる後編も当然ながら気になります。個人的には”滅ビーム”をどうするのかが一番ですが…。