「何かと考えさせられた部分はあったが、ホラー的怖さはかなり薄めでした」こどもつかい スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
何かと考えさせられた部分はあったが、ホラー的怖さはかなり薄めでした
単純に見て怖いホラー映画と言うよりかは、メッセージ性のある社会派ホラーって感じでしたかね。
児童虐待と言う重いテーマを盛り込んだことにより、思いのほか作品そのものには見応えを感じましたが、ただやっぱりホラー映画に期待するものって、いかに見る者を怖がらせてくれるのか、ゾクゾクさせてくれるのか、まずはそこが重要になってきますから、そう言った意味ではホラー映画的怖さを感じるシーンはそう多くなかったことを考えると、正直良作とは言い難いホラー映画だったかなと思ってしまいました。
それほどホラーが得意ではない私でも、ほぼビクつくシーンはありませんでしたから。
往年の清水崇ホラーを期待してしまうと、肩透かしに合う可能性大でしょう、とは言ってもこのところ当たりの少ない清水崇監督の現状を考えると、何となく想像も出来てはいましたけどね。
しかも主演が滝沢秀明で共演に有岡大貴と言うジャニーズコンビがメインキャストでしたから、それはホラーファンが納得できるホラー映画に仕上がっているはずがないのも明白な訳で、まあその辺りを考慮すればある程度想定の範囲内と言える作品ではあったかと。
逆にタッキーファンや有岡ファンの方でホラーが苦手と言う方でも、これなら十分見れると思います、ただタッキーは主演でありながら思いのほか出番は少なかったかな・・・むしろ有岡メイン的なところもあったので、とりあえず有岡ファンならまず見て損は無い作品でしょう、予想以上に健闘していましたしね、でも年齢設定も含めて新聞記者にはあまり見えませんでしたけど(笑)
内容は良くも悪くも常道パターンだったでしょうか、都市伝説の呪い、〇日後に死ぬパターンのタイムリミット、そしてルーツを探す旅と、ホラー慣れしている方ならばまたかと思ってしまうストーリー展開で、正直新味は薄かったですね、それでいて怖くないのですから、それは酷評が多くなってしまっても致し方ないところでしょう。
しかしながら、児童虐待と言うメインテーマの部分だけは何かと考えさせられました、今も昔も変わらず存在する病巣的な部分だけに、ちょっと胸が痛くなりましたよ、それらを乗り越えようとするヒロインの苦悩・葛藤、その部分の見せ方だけは十分評価に値する作品だったのではないでしょうか。
と言うか、この映画はヒロイン・尚美を演じた門脇麦がほぼ主演でしたよね、客寄せの部分でジャニーズを前面に押し出してはいましたけど・・・そんな訳で、演技力のある門脇麦のおかげで、ドラマ的な部分は意外と見応えあったなと思いましたよ。
ちなみに肝心のこどもつかい・タッキーは・・・うん、何か面白かった(笑)、ジョニー・デップ化したタッキーもある意味見所の一つだったと言えましょうか。
でもタッキーをどう生かすか、その制約があった分、取って付けたような設定になってしまって、本人も清水崇監督もちょっと可哀想だったかな、とは言え・・・どこかコミカルなこのキャラクター、何気に嫌いではなかったですよ、返す返すも怖さは無かったですけどね。