劇場公開日 2017年1月14日

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「タイムスリップを通して描く自分発見物語」本能寺ホテル みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0タイムスリップを通して描く自分発見物語

2022年8月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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本能寺の変へのタイムスリップ、綾瀬はるか主演、ということに惹かれて鑑賞したが、予想以上に面白かった。本作は、歴史ミステリーではあるが、タイムスリップを通して主人公(綾瀬はるか)が自分探し&自分発見をしていく物語にもなっている。

積極的にやることが見つからない主人公・繭子(綾瀬はるか)は、勤めていた会社が倒産したのを契機に、なんとなく恋人のプロポーズを受け入れ、恋人の両親に会うために京都にある本能寺ホテルに宿泊する。そして、エレベーターに乗った主人公は、なんと400年前の本能寺の変前日にタイムスリップしてしまう。最初は当時の人達からは際物扱いされ大騒ぎとなるが、主人公のほんわかキャラが奏功し、次第に、森蘭丸(濱田岳)、織田信長(堤真一)と心を通じ合うようになり、ついには、信長に本能寺の変を知らせる決心をする・・・。

本能寺の変は、日本の歴史上最も劇的で有名な大事件である。ここにタイムスリップするとなると、主人公がこの大事件に巻き込まれていくだけでも見応え十分な展開だと予想したが、それ以上だった。本作は、自分のやりたいことが見つけられない主人公が、本能寺の変直前にタイムスリップし、信長の考え方、生き方に次第に触発され、自分のやりたいことを見つけ、積極的に生きていくまでをコミカルに描いている。何といっても主人公を演じる綾瀬はるかが際立っている。主人公と綾瀬はるかのキャラが合致していて全く違和感がない。綾瀬はるかのはまり役である。

脇を固める俳優陣も効いている。信長役の堤真一は、信長らしい傍若無人ぶりと先見性を好演している。森蘭丸役の濱田岳は本音と建前の使い分ける演技が光る。恋人の父親役の近藤正臣も、主人公を温かく見守り諭していく好好爺ぶりで良い味を出している。

戦国の英傑・信長も本作では主人公の人生の先輩的な役回りであり、やりたいこと等、らしい助言をする主人公との会話シーンが心温まり微笑ましい。我々が知る信長にしては物分かりが良過ぎるが、そんな信長もありかも思わせるほど、綾瀬はるかと堤真一の息がピッタリ合っている。主人公に自分の未来を知らされた信長の行動が魅力的であり、本能寺の変の後、何故、豊臣秀吉が超高速中国大返しを実現できたのかの答えも用意されている。フィクションではあるが歴史秘話的な説得力のある答えになっている。

当時からお馴染みなもの等を織り交ぜた、主人公がタイムスリップするための条件が洒落ている。タイムスリップから戻る条件も如何にもホテルらしくて面白い。ラストで、ホテルの支配人が取る行動は、タイムスリップものの定石であり、SFらしい幕切れだった。
最近、タイムスリップを題材にした作品が多く、過去が変わるケースすらある。やはり、過去は変えずに、過去の出来事に至る経緯、プロセスを変える方が無限の選択肢がある。意外性があって断然面白い。本作は、そんな作品の好例である。

みかずき
りかさんのコメント
2022年8月24日

この作品は何回か観る機会がありましたが、断片的にしか観る事ができていず、
後半の方ぐらいで豊臣秀吉の謎もわからないです。堤真一と綾瀬はるかは、よく似たもう一つの方でも同僚役で共演していましたね。堤真一、いいですね。素人の私が言うのもおこがましい?ですが、
作品を観て感心!してしまうのです。何と上手いのだろう!と。この作品でも、
みかずきさんが詳しく事細かに説明してくださっているように一つ一つの動きや喋りが上手くて引き込まれました。どちらかというと綾瀬はるかさんを見たくてでしたが、堤真一さんの方に目が向いてしまいます。まあ、悲劇の主人公というのも加味しているのかも、ですが。
堤真一さんは、ガリレオの真夏の方程式だったでしょうか?天才数学者なのに、数学教師、辛い内容でしたが、堤真一さん、その悲壮感を出す為に、頭頂部の髪の毛を抜いたそうです。その事を知って
表面の演技だけじゃないんだ、と俳優を一生の自分の仕事として生きる心構えを感じました。何か、シリアス以外だとチャラけてそうな印象を抱いていましたが、違いました。信長の話、引き込まれますよね。

りか