「無敵の男も女子どもの扱いは苦手?」ジャック・リーチャー NEVER GO BACK とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
無敵の男も女子どもの扱いは苦手?
戸惑っているリーチャーが、なんかおかしくて、なんか愛おしくて(笑)。
セピア色の燻銀ぽかった前作。
女の扱いもバッサリだった前作。
いつものトム様ならこう行動するだろうと言うのをことごとく裏切ってくれた前作。
とはいえ、前作でも、巻き込まれて殺された女の子に対しては、殺した相手にものすごい憤りを示していたから、その点では今作のサムに対する想いと繋がっているのかな?
今までのトム様とはちょっと違うヒーローを見せてくれた前作だけど、
今作は、今までのトム様の延長上で堪能できます。
それを安定路線として楽しめるか、がっかりするか、好みの問題でしょう。
デュバル様が相棒だった前作に代わり、今回は結構いろんな人を巻き込んでいます。
受付の女性兵士も、昔悪評つけられて恨んでいる兵士も、愛きょうあって良い彩り。
そして今回の相棒、いや、はりあってもね。今時あんな風にウーマンリブ時代を生きているかのような人っているのかしら?と思いながら、良いアクセント。
と、相棒ターナーさんはリーチャ―の行動を男尊女卑と捉えたけど、本当はリーチャ―が苦手なことを相棒に押し付けているだけにしか見えません(笑)。
デュバル様なら、リーチャ―をからかいながらも引き受けてくれ、リーチャ―も強がりながらも甘えていただろうに、今回の相棒とはリーチャ―は対等な関係での主導権争い。リーチャ―、ひそかに負けているよ(笑)。
舞台も、女子どもと一緒だから、そっけないモーテルではなく、インテリア・調度もすてきなホテル。肉弾戦・銃撃戦の舞台も、ディズニーランドにありそうな素敵なエクステリア。
ここでの意匠でも、前作の燻銀というより、コーティングされた砂糖菓子が少し加味されます。
そして、ハロウィンの仮装パレード。MI2でのスペインの火祭りの場面や バートン監督『バットマン』でのジョ―カ―のパレードが連想され、何が起こるのか不気味な雰囲気に…。
花火の爆音と銃声。違いがわかりそうなのに、皆パレードに参加している設定?
サスペンスとしての謎解きは、前作の方が意表をついたかな?
今回は、思わぬ伏兵が良い情報をゲットしてきて、裏付けがとれてという、推理物の要素は少なかった。
でも、悪役が今作の方が早々に姿を現して悪役らしくリーチャ―達を困らせてくれるので、迫力ありました。
(前作の方が途中までは不気味感満載だったのだけど、ラストで失速。)
アクション場面は、見ているこっちが痛みを感じて体をさすってしまう。
とはいえ、笑いどころもあります。例えば、黒いセダン(笑)。
緩急ははっきりしていないけど、その分、全体的にいろいろな要素が入り混じって練り込んでいるかんじ。
リーチャ―が、完全無欠ではなくて、実はいろいろな感情を抱えながらも生きていて、身近に思えてきます。
だけど、「自分が”法”」というリーチャ―同様、相棒のターナーさんも暴れまわるから、リーチャ―の特異性が際立たない。どちらかというと、暴走気味のターナーさんを抑える上司・先輩という役目。かつ前作のヒロインに対する対応とサムに対する対応が違うから、リーチャ―が腕利きの捜査官としか見えません。
こういうリーチャ―も好きだから良いのですが(笑)。
前作不評だった題名から、原題に戻してくれてありがとうです。
このシリーズ、どうなっていくんでしょうね。
「TVドラマで、映画はない」という発表もありました。
好きなんだけれどな。
原作のイメージより、トム様が格好良すぎてダメって…。
トム様ファンとしては、
前作はちょうど離婚訴訟・スリちゃんとの別れの報道と一緒~直後に公開。「スリちゃんとの別れで心労が」との話を裏付けるようにげっそりとやせていて、リーチャ―としては研ぎ澄まされて格好いいけど、トム様としてはとても心配でした。
そんなスリちゃんかつ養女のイサベラさんも結婚してトム様の手から巣立ったと聞いたうえで、今作のサラとのラストをみると、笑顔に、とってもほっと心が温まって、でも、トム様は本当はどんな気持ちでラストを演じていらしたんだと、切ない思いになりました。
映画にトム様の人生を投影するのっておかしいけど。トム様の幸せを願ってやみません。