幼な子われらに生まれのレビュー・感想・評価
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再婚家庭、子供達と繋がるバイブル
浅野忠信主演の主人公は、いわゆる普通に家族を愛するサラリーマン。 再婚、前の子供、再婚した妻の連れ子の感情や対応、変化。血の繋がり、ステップファミリーの繊細な衝突や問題を浮き彫りにしていく。 思春期の子供の解決し難いドキッとする台詞、温かく、またあどけない子供達の姿が見事に描かれている。 夫婦の組み合わせは唯一無二。 正解も不正解も無いと考えさせられた。
人間色々あるよね!
ステップファミリーが題材のこの映画 (原作は21年前に書かれているので まだステップファミリーという呼び方はしていませんが) 微妙な年頃の娘と上手くいかずに 父親になりきることも出来ない 会社では付き合いが悪くて左遷されるはっきりしない男を 浅野忠信さんが好演しています 小さい頃は良いんでしょうが 実の親子でも小学校高学年になれば難しい年頃です ましてや血の繋がらない父との間に母に 赤ちゃんが出来たと知らされたら複雑な思いにもなるでしょう 揺れ動く複雑な女の子の気持ちが良く描かれていました 本当のお父さんに会わせてと言われ会いに行ったら これがまたDV野郎でギャンブル漬けのろくでもない男 でもこのろくでもない男が本音で生きていて 飄々と「結婚なんてめんどくさい」と言い切っちゃいます 「家で帰ってくるのを待ってるんですよ 毎日毎日待ってるわけですよ」と聞かされるうちに 信自身が自分の心の写し鏡のように 会うごとに信に変化をもたらせることになります そこへ元妻が再婚相手が末期ガンに侵かれてると訪れる 刷毛口のない元妻が元夫に愚痴るわけですが 元夫はそれを察することも出来ず 「あなたは、気持ちを聞いてくれない」と言われたり 沢田や元妻から本音を聞くことで 信は少しずつ変わってゆきます ということで男ってっ・・・てことで描かれていますが 頑張ってるお父さんの姿を描いてるように見えて 女性の本音に迫ってるのではないかと思ったりしました ラストの方で旦那に頼るか弱い専業主婦と思われてた 奥さんの本当の姿で皆色々あるんだよ!とさりげなく訴えてます 最後はハッピーエンドにならないけど 家族の歪でも不器用でも、寄り添う努力をしてゆく 人間の姿にエールを送りたくなりました 監督が主役にはふわふわしてる人と思って 浅野さんを抜擢したとおっしゃってますが まさに嵌り役だったのかもしれませんね 田中麗奈さんは気の強いハッキリ物事を良いそうなイメージなので 真逆の役をやらせたいという思いから抜擢されたそうで これまた今までのイメージとは違って良かったと思います 日常生活を切り取ったように撮りたかったそうで それは見事に映画に現れていました ステップファミリーを描いていますが それぞれの想いみたいなもの家族の在り方を 考えることが出来る映画でした 試写会にて
男性と女性で観方が変わるのだろうか
三島監督作品は『しあわせのパン』以降観ているが、前作『少女』が予想以上におもしろく、今回は重松清の原作を荒井晴彦が脚本化したと聞き、さらに興味は倍増。 中年サラリーマンの信(浅野忠信)は、ふたりの子連れの奈苗(田中麗奈)と再婚した。 自身にも娘がひとりいる。 小学校6年生の長姉とはうまくいっていないなか、妻の奈苗が妊娠し、仲はさらに険悪になってきている。 そんな中、信はリストラ対象リストに上がり、本社勤めから湾岸倉庫でのピッキング作業に出向させられることになる。 それを隠して、何事もないように振る舞うのだが・・・ といったところから始まる物語で、原作は20年前に書かれたという。 主人公のリストラ話は、当時そこらへんに掃いて捨てるほどあった話だろうが、子供がいるバツイチ同士が再婚するというのは、当時は珍しかったのではなかろうか。 現在では巷に溢れているハナシなので、原作が書かれたときよりも現在の方が情況は理解しやすい。 で・・・ と書いて、さて、どうレビューしようか少々迷った末に、ストーリー展開は割愛して、感じたことだけを書くことにする。 この映画、男性と女性で観方が変わるのだろうか。 よくわからないが、とにかく、同年代の男性として、身につまされるというか、男性の本質的なところというか、そんなところが巧みに表せている。 たぶん、キーになるのは、信の別れた妻(寺島しのぶ)が現れて、彼と交わす言葉にある。 前妻は、再婚した夫が死に瀕しており、不安で不安で、どうしていいかわからず、そんな不安を埋めるために前夫の信に会いに来た。 そして、映画は、ふたりが別れるキッカケになった出来事を描き、再び、現在へと戻る。 前妻は信に対して「あなたは理由は訊くが、気持ちは訊かない(聞かない)」という。 ああ、そうなんだよな。 男は女性に共感しない。 気持ちは訊かない(聞かない)。 理由を聞いて、理屈で物事を進めようとする。 そして、その理屈が、また刹那的・場当たり的であるにもかかわらず、それに気づかず、自分の理屈が正しいと思っている。 その相手の女性が、妻であっても娘であっても。 理屈は、一見、真実のようにみえて、それが正解のようにも思えるが、実のところは場当たり的なので、永遠に続かない。 けれど、気持ちは、一見、一瞬のものようにみえるが、その実、その気持ちは永遠に続く。 そこんところは、男はわかっていない。 と、荒井晴彦は脚本で書いている。 それも、他人事ではなく、身に染みて。 でも、そんな信は、男性が相手だと相手の気持ちを慮ったり忖度したりする。 ただし、唯一、気持ちを尋ね慮る女性がおり、それは前妻との間の娘。 ここの描き方は上手い。 そして、最後の最後には、反りの合わなかった現在の長姉に気持ちを訊くように変化していく。 観ていて、身に染みる。 同じ男として、信の気持ちがわかる。 そこで、最初の方で考えたこと。 この映画、男性と女性で観方が変わるのだろうか。 女性の方々は、こんな男のことを、どう思うのだろうか。
原作の罪?
正直、本作品、荒井晴彦さんのシナリオということで期待した。 なんでも三島監督が別な作品のシナリオを荒井氏頼みに行ったら、本作品のシナリオを渡されて、映画化したとか…それにしては物語全体にドカッと来るエネルギーが感じられない。 それはおそらく主役の浅野忠信のキャスティング失敗にあると思う。どう見ても彼が子連れ相手の女性と再婚し、自分にも同じ年頃の娘がいるという父親に見えないのだ。 それに加えてのリストラ対象としての不安定な会社での立ち位置も後半は薄くなり、危機感が全く見えない。というか、ああいう会社内での立場ならリストラ対象になっても仕方ないと思える人物。父親としての自覚が薄い気がしてならないキャラクターである。それが狙いとするならば、とても共感できる人物。主役像ではない。 とにかく他の配役もみな影が薄い、というか、あまりにも各自の個性を出し過ぎていてドングリの背比べ的な存在感になっている。 また子供が皆、女子というのも物語に平坦さを与えている。生まれてくるのは男だが… 原作は読んでいないので、どの辺が荒井氏の脚色なのか、解らないが、原作に忠実というのなら、原作が悪いとしか言いようがない。 これまで重松氏原作の「恋妻家宮本」「アゲイン 28年目の甲子園」など、何本か見たが、どれも僕はイマイチ感があったので、脚色や演出云々の前に原作者、重松氏との相性の問題かもしれない、と思った作品でした。
思いのほか面白い!!
派手な盛り上がりも無くハラハラドキドキも無い静かな苦手系な作品かなと思ってたら面白かったです!! ある家族をずっと見てるような変な感覚で2時間があっという間に過ぎました。 小学六年生の娘と観たのですが子供も面白かったと言ってました。 試写会で見れて良かったです。 コレは1人映画や夫婦などにオススメです。
完璧な家族なんてない
淡々と進む映画でした。ある家族のドキュメンタリーを見ているかのような。親の気持ち子供の気持ち。複雑に交差して上手くいかない。完璧な家族なんてなくて、不完全なのが家族で、もがいて、それでも進んでいく姿が描かれている。
家族ってなんだろうな。
役者が本当にみんな良かった。 父親であるために、夫であるために頑張っている浅野忠信 子供に合わせて話しているだけで、なぜか心がざわついた こいつ頑張ってるなーー。 子供たちの抜群の演技。 怖い、怖いDV夫の宮藤官九郎。 見事に無様な女を演じた田中麗奈 重松清さんは頑張っている男の姿を心に刺さるように描いてくる。 何度、重松さんの小説で泣いた事か。 きっと、脚本の荒井晴彦さんも男の姿を描いていたと思うが。 三島有紀子監督は違ったと思う、女性を描いている多分少女たちを。 その絶妙なバランスがこの傑作になったのだと思う。 家族のありかたを見つめる、考える。今見るべき作品だと思った。
子連れ再婚家庭の問題を考えさせられる
子連れ再婚家庭の問題の1つをクローズアップしている作品ということで、試写会のご招待いただきました。
ありがちな継親と継子の交わらない思いをクローズアップした作品。
父親演じる浅野さんの役柄がいいお父さんすぎて、現実の継親とはなつかない継子との葛藤で時に意地悪したくなる感情など、ストレスのはけ口が単にカラオケだったのが物足りなかったです。
(原作だと性風俗なので、そのまま表現したほうが良かったのではないかと思いました)
最終的にはハッピーエンドでもないし、まだまだ先に様々な問題がありそうなところで終わるので、いろいろ考えさせられます。
でも現実問題にありがちな子連れ再婚家庭の問題の1つをしっかりとらえていていい作品でした。
最後に、HPの予告編の中にある「普通の家族になれない大人たち」っていうテロップには違和感を覚えました。多くの人が目指す「普通の家族」がそもそもおかしいのであって、家族は多様化しているので、普通を求めてはいけないのだと思います。
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