劇場公開日 2017年8月5日

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「下ネタコメディだが、なかなかカッコいい音楽映画」俺たちポップスター Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5下ネタコメディだが、なかなかカッコいい音楽映画

2017年8月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

本作はモキュメンタリー(mockumentary)映画の一種だろう。”モック+ドキュメンタリー”の造語で、架空の人物や出来事に基づいて作られるドキュメンタリー風表現手法(引用:Wikipedia)である。ホラー映画の「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999)などがあるが、本作は音楽コメディである。

幼なじみ3人組の世界的なヒップホップバンド、"スタイル・ボーイズ"の話である。もちろんぜんぶウソ、でっち上げなのだが、"スタイル・ボーイズ"に関するライブ映像やテレビ出演映像、世界のニュースリアクションがもっともらしい。さらに挿入されるインタビューなどで、"スタイル・ボーイズ"に関して語るアーティストがズラリと本人役で出てくる!!

アッシャーやジャスティン・ティンバーレイク、マイケル・ボルトン、マライア・キャリー、ファレル・ウィリアムス、アダム・レヴィーン(マルーン5)などなど。みんなで"スタイル・ボーイズ"の凄さについて真剣に語る(笑)。そしてリンゴ・スターまでも登場する。ホントのドキュメントかと思いきや、ふざけている。

同じテイストのコメディに、架空のヘビーメタルバンドの全米ツアーの模様を、"ロックあるある"で笑わせる「スパイナル・タップ」(1984)という名作がある。それのヒップホップ版っぽい。とにかく、"あるあるネタ"、"パロディ"、"下ネタ"で笑わせる。

"スタイル・ボーイズ"を演じるのは、コメディアンの"ザ・ロンリー・アイランド"の3人。アンディ・サムバーグ、アキバ・シェイファー、ヨーマ・タコンが製作・監督・脚本・主演・音楽も担当する。実に多才である。

プロデューサーは、個人的に好きなジャド・アパトー(Judd Apatow)である。今年は「エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方」があったが、その弟子のセス・ローゲン(「ソーセージ・パーティ」など)を含む、"アパトーギャング"的な流れからすると、もちろん下品は下品なのだが、ちょっとカッコいい。アパトー自身にも音楽モキュメンタリー「ウォーク・ハード:ロックへの階段」(2007)があるが、"嘘から出たまこと"のごとく、なかなかのセンスの音楽映画に仕上がっている。

(2017/8/9/シネマカリテ/シネスコ/字幕:種市譲二)

Naguy