「夫婦のハミング。」八重子のハミング ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
夫婦のハミング。
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実話なだけに当時の社会福祉制度や周囲の無理解など
現在とはやや異なる設定もあったけれど、往々にして
老々介護の厳しさがしっかりと描かれている。と同時
に、夫婦であることの有難みと温かさ、他者には理解
されない行動や言動の数々を二人で乗り越えた道のり
が夫の優しさいっぱいに描かれ、升毅の演技に泣いた。
個人的に自分の両親と重なる展開なので驚く。夫の病
後間もなく認知症を発症する妻。今作では若年性とあ
って進行がかなり早い。まさかの妻の変貌に驚きつつ、
冷静に受け止め周囲へ伝える夫の行動、その後の介護
の在り方を含めて我が家の父親とは雲泥の差であった。
自身もガンで何度も手術を余儀なくされるが死ねない、
そんな意識が本人を強くしたのには納得。しかし介護
の現実は厳しく美談や笑い話で語れるのは他人が見て
も差し支えないものである。今作で描かれるリアルな
排泄や徘徊行為は経験してみないと分からない部分で
あって、そこに激高するのは介護者本人の性格も関係
する。原作者の陽さんは人間としても素晴らしかった。
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