「「人間じゃない」の台詞が説得力に欠ける」忍びの国 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
「人間じゃない」の台詞が説得力に欠ける
石原さとみは「シンゴジラ」辺りから演技が一皮剥けた印象で、テレビドラマ「校閲ガール」では現代っ子の若い女性をコミカルに演じていた。
この映画でも石原さとみの演技に期待していたが、まあ出番の少ないこと。それでも気は強いが愛情豊かな奥方を美しく演じていた。住居と着物のギャップは触れぬが花だ。
ストーリーはなかなか練られていて全体として面白くは見れるのだが、鈴木亮平と大野くんが言う同じ台詞「人間じゃない」の、あまりのリアリティの欠如に、思わずずっこけそうになった。
下人たちの中での大野くんの立ち位置や下人たちの日常などをもっと整理しないと、取ってつけたような設定になる。下人たちが「人間じゃない」呼ばわりされるためには、情け知らずの極悪非道でなければならないが、この作品の下人たちは自分の欲望に正直なだけで、作品全般ではむしろ愛すべき人々である。
説得力に欠ける設定はシラけるだけだ。ディズニー映画じゃないんだから、もっと全体に悪党寄りにしてもよかったのではないか。その方が大野くんも新境地を開けただろう。残念だ。
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ちゃいむさんのコメント
2018年1月19日
下忍たちが「人間ではない」というのは極悪非道とかってことではなく、「道具」として育てられ、存在している。ということだと思います。
なので通常人間が持っているであるう、
善悪の価値観とか、良心、情とか言うものが欠如しており、
人の心や気持ちを思いやったり、寄り添ったり、共感したり、ということができない。多分、家族が殺されたとしても憎しみという感情もないのでは?
そういう意味合いでの「人間ではない」
なのだと思います。