「面白かった!」忍びの国 あるこさんの映画レビュー(感想・評価)
面白かった!
原作は、史実が題材の歴史小説で、かなりダークに冷静に描かれているのに対し、映画は、かなりポップに描かれており、誰もが親しめるエンタメ作品になっていて、良い意味での驚きがあった。
原作の登場人物やエピソードがいくつか削られていたので、映像化にありがちな「もの足りなさ」を感じるのではと心配したけれど、脚本を手がけたのが原作者本人(和田竜)であり、原作自体がもともと映画化を想定した脚本として発案されたそうなので、過不足感を全く感じさせない完成形になっていたように思う。
戦国時代の話なので殺りくシーンは不可避だけれど、グロさは伴わないので安心。サラッと観ると、笑いさえ生じる爽快なエンタメ作品に仕上がっており、ダークヒーローものとして、子どもでも楽しめる内容。
ただし、じっくり観ると、描かれている深いテーマに気付かされたりするので、広い年齢層に受け入れられそう。
忍術のネタバレ映画として、知的欲求も満足させてくれる。原作でも史実に近い伊賀忍者が描かれているけれど、映像の表現力は大きいと感じた。
圧巻は、330手以上あったというラストの一騎打ち。時代劇映画でよく目にする長刀を使っての殺陣ではなく、短刀での超接近戦なので、これまでにあまり観たことがないアクションシーンに仕上がっているように思えた。
作品前半はコミカルだった主人公が、この一騎打ちでガラリと変化するのも見物。この一騎打ちシーンだけでもまた観たいという気持ちにさせられた。
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