エル・クランのレビュー・感想・評価
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このおじいちゃんはなぜそこまで話をこじらせたかったのか? また、今...
このおじいちゃんはなぜそこまで話をこじらせたかったのか?
また、今、なぜこの話なのか?
1983年前後はフォークランド紛争でアルゼンチンとイギリスが戦争をした年。何か関係があるのか?
いずれにしても、知らない事は内政不干渉。
タイトルなし
アルゼンチンでの実話というのが驚き。裕福な一家が家族ぐるみで誘拐殺人まで犯していた。狂気なギョロ目の親父はラクビーのスター選手の息子までなぜ巻き込んで犯行を重ね、ラストは裁判で自分が全て罪を被るかと思いきや、息子が自殺未遂。あまりにも息子が憐れでならない。しかも親父は出所し弁護士になるってすごい実話。
雑な誘拐
身代金の受け渡しも白昼堂々やるし、計画が少し狂っただけで殺すし、えらい手荒なことやるなあと眺めてました。
ラスト、子どもの感情爆発はよかったですが、衆目もあり看守が殴ったとは言えないですねあれ。
筋書きから『アニマル・キングダム』を思い出しましたが、父親アルキメデスが出所して弁護士になった、ていう顛末に救いのなさをかんじました。
恐ろしい
1980年代アルゼンチン。史上最悪な独裁政治から7年以上が経ち、徐々に民主政治を取り戻していた時代。裕福で、近所からも慕われるプッチオ家は、父アルキメデス(ギレルモ・フランセーヤ)を筆頭に妻、息子3人、娘2人で幸せに暮らしていた。そんななか、マルビナス戦争(フォークランド紛争)の結果、政府が転覆。政府の情報管理官として働いていたアルキメデスは無職になってしまう。
ある日、長男アレハンドロ(ピーター・ランサーニ)は、同じラグビーチームの友人に車で家まで送ってもらっていた。そこへ突然、見知らぬ車が割り込んでくる。その車から出てきた銃を持った男たちは二人の頭に布を被せ、さらっていった。友人は車のトランクへ、アレハンドロは助手席へ放り込まれた。なぜか運転席の男は、乱暴されたアレハンドロを気遣う。そこで覆面を取ったのは、父アルキメデスだった―
翌日、アレハンドロが練習場へ到着すると、チームメイトが誘拐されたことが既に広まっていたが、誰一人アレハンドロを疑っている様子はない。皆、姿を消した友人を心配しており、複雑な心境になる。犯人が捕まらず街に不安な空気が流れるなか、プッチオ家はいつもと変わらない生活をしていた。夕飯の時間になると、アルキメデスは妻エピファニア(リリー・ポポヴィッチ)の作った料理を、キッチンではなく、2階の奥にある鍵のかかった部屋へと運んでいく。なんとその部屋は、プッチオ家に特設された〈監禁部屋〉だったのだ。
アルキメデスは人質に対し、身代金を用意させるため、家族あてに手紙を書くよう指示をする。その後、多額の身代金受け取りに成功したアルキメデスは、人質を監禁部屋から車のトランクへ運び、アレハンドロが見守るなかプッチオ家をあとにする。しかし翌日、アレハンドロはチームメイトから衝撃の事実を告げられる。なんと、人質になった友人は殺害されていたのだ。その夜アルキメデスに理由を聞くと、人質から逆に脅され、家族を守るため仕方なく殺害したことを打ち明けられた。さらに、「私を信じてほしい」と次の“仕事”に向け、協力を仰ぐのだった。
数日後。アレハンドロが経営するサーフショップの開店祝いで、町の人々やチームメイトに祝福されるプッチオ家。その姿は依然と変わることなく仲睦まじく、誰もが羨む光景だった。家族の秘密を知るものは、未だ誰一人いなかったのだ。
ある日、アレハンドロが店番をしているときに若い女モニカ(ステファニア・コエッセル)がやってきた。モニカとアレハンドロは互いに惹かれあい、自然と恋人関係になった。店の経営も恋人との関係も順調なアレハンドロは普通の生活を望むようになり、次の“仕事”から抜けることを父アルキメデスに伝えた。そこから徐々に、プッチオ家の歯車が狂い始める―政権が代わって後ろ盾を失ったブッチオ家は警察に逮捕される。裁判所でアレハンドロは飛び降り自殺してしまうが一命を取り留める。
その後の経過はこの手の映画によくある字幕による解説となる。
予告編は間違い
映画を観てまず感じたのは、予告編にとても違和感があった。
予告編を観ると、コメディ寄りと感じさせる内容だった。
家業が誘拐とはいえ笑えると感じた。
しかし誘拐で家業が成り立っているだけではなく、誘拐した人をガンガン殺す。
笑える要素なんてなくて、うわっと感じる。
実話に沿ったこの映画に震撼。
予告編に違和感があるのはきっと盛り上がるクラシックが原因かなと感じた。
あと華麗という文字。
作品自体は問題提議として、事実として見応えは会ったが、誘拐殺人を肯定しているわけではないだろうけど、なんか嫌な気がした。
笑えない事実。
2015年ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞に輝いた実録犯罪映画。
演じるキャストも演出もブラックコメディを売りにしているが、
いやはや鑑賞してみるとかなりの戦慄感が走る。軍事政権崩壊
後、失職した父親が手を染めた誘拐犯罪。それに従うしかない
息子たち。見て見ぬふりの母と娘。抜け出そうとする末の息子。
中流生活のために家族ぐるみで父親の犯罪を黙認していたのだ。
この犯罪に誰も気付かないばかりか映画で観ても分かるように
警察さえも事件を追う気配がない。混沌した時代だからこそだ。
誘拐事件というには粗雑で(そりゃ素人だしね)脅迫電話も街中
の公衆電話を使ったりと、よくそれでバレないものだと不思議
で仕方ない。狙いとはいえ交流のある人々も拉致監禁している
ことから普通ならもっと早くアシがついても良さそうなものを
そんな時代だからできたことだというのか。父親と違って精神
面で追い込まれていく息子たちの描き方が鮮烈で救い出したい
気分にもなる。逮捕起訴された後のエンドクレジットまでもが
戦慄で、うっそー!と思える終生まで明かされ更にゾッとする。
(こりゃ笑えないわ。平気で殺人まで犯す父親の目が怖すぎるよ)
すごい緊張感。時折挟まれる回想シーンで、絶望感めっちゃ煽られる。 ...
すごい緊張感。時折挟まれる回想シーンで、絶望感めっちゃ煽られる。
とくに逮捕シーン…音楽も不安感煽ってきてよかった。
そのくせ殺人シーンが妙に淡々としてる。
父親は犯罪っていうよりビジネスとして、政府への復讐として、悪業を淡々とこなしてる。
優しい父親の顔、犯罪者ではなくあくまでもビジネスマンの顔、
ビジネスが危機に陥ってブチギレて、息子すら半殺しにする鬼畜の顔…ギャップが怖すぎるよパパ。
アレハンドロも情けなかったりセクシーだったり逞しいスポーツマンだったり、魅力的でした。
自殺未遂は父親への復讐やと思ったけど、どうやろう。直前にほくそ笑んでた気がしたけど。
もっぺん観たいわ〜
基本的にラテンアメリカの映画は好き…
「家族」という名の洗脳
アルゼンチンで実際に起きた事件を元に作られたという作品だが、事件のショッキングさや実話であるというインパクトよりも、人間という生き物の狂気と妖気を救い上げた時に浮かび上がるサスペンスを感じる作品だった。
父親が主導権を握る、一家総出の身代金ビジネス。その事件は凶悪であるのだけれども、その凶悪な犯行を、「日常」の一コマとして描き出される風景の異常さが、じわじわと効いてくる。地下室から叫び声や悲鳴が聞こえている中、当たり前のように生活する一家の姿に鳥肌が立ち、犯行から身を引こうとしながらも生まれ育った環境から抜け出すことのできない怖さに身震いがする。結局、平然とした顔でラグビーチームの練習に参加していたりするあたり、やはり狂気的だ。
「家族」というものはある種、洗脳に近い要素を持っている。無論多くの「家族」「家庭」は健全かつ人道的な良心を植え込んでいく、というポジティブな洗脳(言葉の意味が強いので語弊がないように注意したい)であるのだが、この映画に出てくる「家族」が植え込まれたもの、それが犯罪であり誘拐であり殺人だった。「家族」という組織がそもそも潜在的に持つ危うさが、この一家は「犯罪」という方面に伸びて変形し、歪になってしまったかのようだ。恐ろしいと同時に、あまりに哀れでやはり悍ましい。
シリアスに作ればどんどん暗く重く出来そうな題材だが、映画はブラック・コメディに近い色を持つ。監督は違えど同じくペドロ・アドモバル製作のアルゼンチン映画「人生スイッチ」の特徴でもあった、怒りと哀れみと毒を調合したような過激ながらもどこか可笑しいブラック・コメディの色合いがこの作品にも息衝いているよう。(アドモバルの妖しさも匂う)
しかしどうだろう?この映画から、「実話だ」という事実を差し引いてしまうと、映画としての面白味が薄らぎはしないだろうか?どうやらこの映画は、史実に忠実であることをモットーとし、限りなく事実に基づいていることを触れ込みにもしているが、史実に忠実であれば映画として面白いとは限らない。実際の事件の戦慄性の力を借りているだけにはなっていないか?実録ものの映画も本当に巧い映画は、実話であるということを差し引いても映画としての旨みがあるものだ。その点が「エル・クラン」は弱い気がした。
父親役のギレルモ・フランチェラの妖しい怪演は文句なし。そしてまるで頬にビンタを喰らうような衝撃的なラストシーンも好きだった。
お父さん怖いよ
牢獄の中で自分の息子に恩を忘れたかとガチ切れする当り、(この人を御父さんと愛情込めて呼べるのかも抑々疑問なのだが)お父さんのサイコっぷりが光ってる。
実際の事件ベースということで、この手の話は重ーく暗ーくなりがちだと思うし、実際すんごいことやらかしてるのだけど、そこは音楽の構成で一寸ポップな感じに仕上げられてる。このお蔭で2時間特に苦しむことなく見続けられたとの個人的所感。
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