エル・クランのレビュー・感想・評価
全37件中、21~37件目を表示
「家族」という名の洗脳
アルゼンチンで実際に起きた事件を元に作られたという作品だが、事件のショッキングさや実話であるというインパクトよりも、人間という生き物の狂気と妖気を救い上げた時に浮かび上がるサスペンスを感じる作品だった。
父親が主導権を握る、一家総出の身代金ビジネス。その事件は凶悪であるのだけれども、その凶悪な犯行を、「日常」の一コマとして描き出される風景の異常さが、じわじわと効いてくる。地下室から叫び声や悲鳴が聞こえている中、当たり前のように生活する一家の姿に鳥肌が立ち、犯行から身を引こうとしながらも生まれ育った環境から抜け出すことのできない怖さに身震いがする。結局、平然とした顔でラグビーチームの練習に参加していたりするあたり、やはり狂気的だ。
「家族」というものはある種、洗脳に近い要素を持っている。無論多くの「家族」「家庭」は健全かつ人道的な良心を植え込んでいく、というポジティブな洗脳(言葉の意味が強いので語弊がないように注意したい)であるのだが、この映画に出てくる「家族」が植え込まれたもの、それが犯罪であり誘拐であり殺人だった。「家族」という組織がそもそも潜在的に持つ危うさが、この一家は「犯罪」という方面に伸びて変形し、歪になってしまったかのようだ。恐ろしいと同時に、あまりに哀れでやはり悍ましい。
シリアスに作ればどんどん暗く重く出来そうな題材だが、映画はブラック・コメディに近い色を持つ。監督は違えど同じくペドロ・アドモバル製作のアルゼンチン映画「人生スイッチ」の特徴でもあった、怒りと哀れみと毒を調合したような過激ながらもどこか可笑しいブラック・コメディの色合いがこの作品にも息衝いているよう。(アドモバルの妖しさも匂う)
しかしどうだろう?この映画から、「実話だ」という事実を差し引いてしまうと、映画としての面白味が薄らぎはしないだろうか?どうやらこの映画は、史実に忠実であることをモットーとし、限りなく事実に基づいていることを触れ込みにもしているが、史実に忠実であれば映画として面白いとは限らない。実際の事件の戦慄性の力を借りているだけにはなっていないか?実録ものの映画も本当に巧い映画は、実話であるということを差し引いても映画としての旨みがあるものだ。その点が「エル・クラン」は弱い気がした。
父親役のギレルモ・フランチェラの妖しい怪演は文句なし。そしてまるで頬にビンタを喰らうような衝撃的なラストシーンも好きだった。
混沌
顔に冷たい水をかけられたような衝撃(大袈裟です)
1983年のアルゼンチンで実際おこった誘拐事件を映画化したもの。
この頃のアルゼンチンは民主化や革命や軍事クーデターがあったりと、きな臭い時代。
ある一家が中心なんですが、お父さんが怖い。絶対君主的な存在。それに、このお父さん無表情なんです。ギョロとした目で…それはもう、うすら寒くなるほど。
作品全体が終始、汚いマーブル模様のようにドロドロと漂ってる感じで混沌としてます。
(なんだかよく分からない説明でスミマセンw)
映像も内容も狂ってる。これも全てお父さんのせい!息子が追い詰められるのもわかる。弟が逃げ出す時の空港の別れのシーンが忘れられない。お兄ちゃんの孤独感が伝わってくる。
正直ちょっぴり眠くなったりしたんですけど終盤になるにつれ、これは眠ってる場合じゃない!になりました。
これが家族か…
金
125本目。
1本観て10時台の映画観ようと思ったら完売だったり、いい席なかったりで、しゃーないから11時台の映画観ようと池袋へ。
こちらにも振られ戻って新宿。
無理かと思ったらラッキー。
ある意味、運が良かった。
この作品、何かね他人事に思えない。
自分が同じ立場なら、そうなると思えて。
金はね、人を動かすには手っ取り早いから。
狂ってないと思うのが、本当に狂ってる証拠だと思う。
恐ろしい
ホラーとかサスペンスといった映画は、半ば虚構だという思いで見ているわけで、恐さを楽しんでいるようなもの。
現実世界にあった出来事を、脚色が加えられているとはいえ、ここまで生々しい映像美で見せられると、戦慄を覚える。
映像と似つかないロックと共に見事な空間表現が成され要所要所で恐怖の戦慄を用いて、魔の映像にはまりこんでいく。
日々流れるニュースを楽しむのに似ている感覚、その感覚をただ高尚に仕立て上げられたといったところか─。劇映画であるから尚更、衝撃な事実に衝撃を受けてしまった。
面白くないです。
実話を元にしているとはいえ、映画の中でのリアリティがないのだ。
犯行によりリアリティーを持たせる必要がある。
緻密な犯行計画、大胆で繊細な犯行実施、想定外案件への対応。そして悪運。これらを映画の中のリアリティーをより持たせれば面白くできたのになあ。
退屈だった。
混乱の時代の狂気の家族。
普通の家族のふりして父親の狂気が恐ろしい。
連続誘拐、殺人を自宅で実行、なのに家族は無関係って。
混乱の政権明けの時代だからなせた技か。どこまで忠実な描き方か分からないけれど犯罪方法も雑。家族に嫌気がさすのが弟1人というのもびっくり。
笑っていいのか引きつるべきか、実話と思うと恐ろしや。
子供は親を選べない。
楽しく拝見しました。
子供は、親を選べません。
農業家の子供に生まれたら、
野菜や果物のお世話をお手伝い。
畜産家の子供に生まれたら、
牛や鶏のお世話をお手伝い。
じゃあ、犯罪家の子供に生まれたら??
この映画で描かれる、一家の子供は、
所謂「ワル」ではありません。
むしろいい子なのです。
そのキャラクター設定は、
ハッとさせられました。
どちらかといえば、喜劇ですが、
ピリリとスパイス効いていて、
とても良い映画でした。
ブラックとユーモアのバランスが絶妙。
恐ろしい事件に落とし込まず、音楽が明るく(シュールに)仕上げている。「Sunny Afternoon」なんて、もうマッチしすぎ。
これが実話がベースというのだからすごいなあ、、アルゼンチンって。
「この国だからこそ作れる」ような作品は大好き。
ただ家族が多すぎて、一人ひとりのキャラクターが把握できなかったです(笑)。
お父さん怖いよ
牢獄の中で自分の息子に恩を忘れたかとガチ切れする当り、(この人を御父さんと愛情込めて呼べるのかも抑々疑問なのだが)お父さんのサイコっぷりが光ってる。
実際の事件ベースということで、この手の話は重ーく暗ーくなりがちだと思うし、実際すんごいことやらかしてるのだけど、そこは音楽の構成で一寸ポップな感じに仕上げられてる。このお蔭で2時間特に苦しむことなく見続けられたとの個人的所感。
雑な犯行。それが故に余計に怖い。
アルゼンチンで、1980年代に実際に起きた誘拐事件え描く。家族で誘拐ビジネス・・・。怖いです。
数年間に渡りビジネスとして誘拐を行っていたにしては、結構その手口は雑です。恐ろしいほどに雑です。最初の内、「なんでこんなに雑なのに捕まらないんだ?」と思っていたんですが、父親の経歴がモノを言っていたようですね。時の捜査機関とそれなりのいい関係であったようです。まぁ、南米にはありそうな話ですね。
他にも怖いと思ったのが、長男。基本的には善良な人間なんでしょうけど、誘拐ビジネスを手伝っている上に、何食わぬ顔でラグビーチームに参加しているってねぇ。なんか精神構造が・・・。それが故に、彼の人生の結末は悲しい結末になるんですけどね。
次男は・・・。まぁ、あんなもんなんでしょうね。むしろ喜々として誘拐ビジネスに参加していたような気が・・・。
母親を始めとした女性陣はと言うと、母親は、夫のしていることを知っていたんじゃないですかねぇ。どうも・・・。でも、長女、次女、長男の妻は知らなかったのかな。
いやぁ、怖い話です。
ハチャメチャだけど
ハチャメチャだけど
裕福な生活の為に身代金目当てで父親を中心に家族ぐるみで誘拐を繰り返すというアルゼンチンの実際にあった事件を元にした話。
言い訳ばかり、人のせいばかりの父親にもうんざりだし、こんなんでこれだけの回数バレずに誘拐を繰り返せるかよという感じ。
まあ裏工作があった訳だけど…。
内容はハチャメチャだけど、面白可笑しくないし、シリアスでもないし、テンポもイマイチ。
自分にはしっくりはまらなかった。
コメディ?サスペンス?ドキュメンタリー?
奇妙な映画
さああなたにとって家族とは何か?を
改めて考えてみましょう、
みたいな感じでは全然ない
静かに、ゆっくり、ラグビー青年と
出ていった弟の心情を想像する感じ
お涙ちょうだい的な映画でなく、
かなり淡々としていて好感が持てる
主役のじいさんの演技は凄い
あの眼力はハンパない
最後はここで終わるのかあと思った
演出が上手い
ただ時間がちょっと長い気がしたし、
何回も観る気はしない
監督の他の作品が気になる
全37件中、21~37件目を表示