「笑えない事実。」エル・クラン ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
笑えない事実。
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2015年ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞に輝いた実録犯罪映画。
演じるキャストも演出もブラックコメディを売りにしているが、
いやはや鑑賞してみるとかなりの戦慄感が走る。軍事政権崩壊
後、失職した父親が手を染めた誘拐犯罪。それに従うしかない
息子たち。見て見ぬふりの母と娘。抜け出そうとする末の息子。
中流生活のために家族ぐるみで父親の犯罪を黙認していたのだ。
この犯罪に誰も気付かないばかりか映画で観ても分かるように
警察さえも事件を追う気配がない。混沌した時代だからこそだ。
誘拐事件というには粗雑で(そりゃ素人だしね)脅迫電話も街中
の公衆電話を使ったりと、よくそれでバレないものだと不思議
で仕方ない。狙いとはいえ交流のある人々も拉致監禁している
ことから普通ならもっと早くアシがついても良さそうなものを
そんな時代だからできたことだというのか。父親と違って精神
面で追い込まれていく息子たちの描き方が鮮烈で救い出したい
気分にもなる。逮捕起訴された後のエンドクレジットまでもが
戦慄で、うっそー!と思える終生まで明かされ更にゾッとする。
(こりゃ笑えないわ。平気で殺人まで犯す父親の目が怖すぎるよ)
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