「テンポ速すぎ、結局何?」トランスフォーマー 最後の騎士王 m Bさんの映画レビュー(感想・評価)
テンポ速すぎ、結局何?
トランスフォーマーに何を期待するか、で評価が分かれる。
ただ単純に迫力ある映像を観たい、ドンパチしている映像でスッキリしたいならよい。
ただ、ストーリーをじっくり楽しむような作品ではまったくない。
テンポが速すぎるし、物語を回想したり、少し考えたりする瞬間すら観客に与えない。人によってはかなり疲れるだろう。
私もこれまでのトランスフォーマーは全作観てきたが、過去作を観てきたファンでもなんとなくついていけるレベルのストーリーの速さだった。事前に今回の登場人物や概要を予習しておけば別かもしれないが、ほとんどの人はそこまでしないだろう。
簡単でいいから、「正義VS悪」位の図式でよいから明示して、あとは映像を楽しむような単純な流れでよいと思うのだが。
ストーリーに深みをもたせたいなら、やはり「間」を大事にして、重厚感をもたせていくことが必要だ。
それに、もともと子ども向けおもちゃが基本となっているのだから、そもそもストーリーにリアリティをもたせることが大変なはずだ。
これまでのトランスフォーマーは、CGのすごさ、ネジ1本まで稼動するすごさに頼り、「すごいものを観た」という感覚で乗りきってきた。なんとかリアリティを持たせようとがんばってきた。
しかし、もう限界である。観客の目も慣れてしまっているし、速すぎるテンポも相まって、登場人物の行動がご都合主義的すぎて、バカ映画になりさがっている。
それはもう前作のロストエイジではっきりしていたことなので、なんとかならなかったのか、悔やまれる。
スピンオフも含め、これから14ものトランスフォーマーの脚本があるというが、こんな展開ではもたないだろう。ストーリーを楽しむトランスフォーマーがあっていい。ファンはスッキリ感と同時に、感動を求めている。
「やっぱりマイケル・ベイだね。」という映画でよしとするか、どうか。しかしシリーズを続けていくのならば、もう変革のときだろう。