「22回以上3,000回以下観れる人の為の映画。おっさんは3回観れたらいいかな。」アベンジャーズ エンドゲーム しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
22回以上3,000回以下観れる人の為の映画。おっさんは3回観れたらいいかな。
オレはMCU作品群について、特に思い入れはない。もちろん21作品のうち、好きなものは当然ある。
「キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー」。
「ソー ラグナロク」。
「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」。
「WS」の政治サスペンスアクション、「ラグナロク」の70年代サイケデリックSFコメディ、「IW」の「上手さ」は特に素晴らしい。
特に「IW」は「ブラックパンサー」以上にオスカー向きだと思った。
だが、オレの好きな3本の、とってもチャレンジングな作品と打って変わって、レビューは書く気もなれない「キャプテン・マーベル」、「ワスプ」の「消耗品」臭が鼻につく。
釣られて見るのはこっちの責任。C・マーベルなんか、本当に要らなかったなと本気で思う。
だが、本作はそんな3品しか好きではない人間のために作られた映画では決してない。本作の圧倒的なボリューム感とサービス精神、気配り、そしてプライドはものすごいものを感じる。
そこは想像通り。これは映画史に残る一大イベントだ。こんなことは、いまだかつてなかったし、これからもないと考えていい。この時代の映画ファンで良かったと思う。
アメコミファンは3,000回観るだろう。MCUファンはあと21回観るだろう。そんな映画だ。
だから、ここからは、「3回しか観ない」オレの話だ。
「アベンジャーズ エンドゲーム」
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1)まず何といっても、ストーリーと展開が「全く」と言っていいほど、想像を超えていない。
「過去に戻って、ストーンを集める」
これについては、21作品の流れからして、むしろ「そうすべき」展開には違いないが、アントマンを量子世界から救うのが、ネズミの偶然ではなくて、そこはやはり「意志あるアリ」であるべきだろう。
2)初期アベンジャーズ以外がモブなのはまあ、いいとして、初期アベンジャーズが生き残ったことが十分に活かされていない。
タイムトラベルでストーン奪取は想像どおり。しかしキャップVSキャップは「決着をつけるあのセリフ」については、十分面白いのだが、もっと「アガル」アクションにできたはずだ。
このあたりは、気を配り過ぎて、「アゲル」べき点を見失ったか、泣く泣く切り捨てたか、だと思うが、合わせてストーン奪取のチームの組み合わせももっと面白くできたのではないか、と思う。
特に組み合わせとして、「家族」を取り戻す男と、戦いの中で「家族」を持つことが出来た女として、最高だったはずのホークアイとウィドウのチームの結末はもっと深く感動があるべきものなのに、「足しました」程度の演出にはガッカリ。
また、「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」ほどのものは期待はしていなかったが、現在の技術と21作品分のタネがあるほどのマジックをここで観ることはなかった。(こちらとしては、アガッたのはティルダの登場のみ。(これは個人的好み))
3)サノスのキャラが変わった。
これは本編前半の事ではなくて、ラストの決戦。「IW」は大義をもって、自己の愛を犠牲にして、信念を貫き勝利した。だが、本作のサノスは、「人口の半分」ではなく、宇宙を作り直す、地球の殲滅を楽しむ、と言い切ってしまった。
「IW」のサノスの「正義」に対するアンサーがここではなんら提示されず、サノスが「快楽殺人者」と成り下がってしまっている。
本作は、前作のサノスの圧倒的信念に対し、いかに「一人の命」も軽くみず、全員を救うキャップの執念が、結局「ソウルストーン」のための、のウィドウの死、そしてスタークの死という結論に至ったのは、残念。
やはり「IW」を除く20作品に気を使いすぎて、「IW」のアンサーがやや蔑ろになってしまったのかと思う。
「IW」では交通整理と評したが、今回は3時間の上映時間も含め、「とりあえず全部足しました」という印象がぬぐえない。
ここが一番の残念ポイント。
追記1
上記3作品「だけが」好き、ということで、ソーの扱いやキャップのアクションがCGくさい、どうせ出すなら、ケイト・ブランシェットのヘラを絡めたストーリーにしてほしかったなど、文句はたくさんあるが、それでも後2回の計3回は観ようと思うのは、敬意以外何物でもない。
追記2
パンフレット、ひどい。。
見方によっては好みが別れる作品ではありますねぇ。良くも悪くもアメリカ映画特有の大味さはでてましたね。エンドゲームでは、IWで重要な演出が、拍子抜けな形で表現されることが多かったです