エンドレス・ポエトリー : 映画評論・批評

エンドレス・ポエトリー

劇場公開日 2017年11月18日
2017年11月14日更新 2017年11月18日よりシネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンクほかにてロードショー

老年のホドロフスキーの人生に降り積もった時間を今、再び生きる

時は流れるものではなく積み重なっていくものだと、ホドロフスキーの映画を観るたびに思う。今ここに、その人の生きてきたすべての時間が集う。もしかするとこれから生きることになる時間も顔を出すかもしれない。つまり「今」は常に盛りだくさんなのだ。今わたしが踏み出すこの一歩に、あの日あの場所での一歩やいつかどこかでの一歩がなだれ込んでくる。なだれ込んだ挙句の今この一歩なのである。

今作は前作「リアリティのダンス」の続き、ホドロフスキーの青年時代の物語ではあるのだが、あくまでも今年88歳となるホドロフスキーの目から見た自身の青年時代の物語である。老年のホドロフスキーの人生に降り積もった時間が、12歳の時のチリ・サンチャゴへの移住から1953年の渡仏までの時間を押し広げる。今でなければ語れないかつての時間。そして今ここにあって生き物のように動いているかつての時間を、この映画が映し出す。振り返っているのではない。自身の過去を現在のホドロフスキーが生きているのだ。

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自身の過去という時間の地層の中に、年老いた現在のホドロフスキーが潜り込んでいくと言ったらいいだろうか。当たり前のように自身が自身として登場して語り出すシーンもある。かつての自分にアドヴァイスをしたりする。地層のように堆積した自身の時間を串刺しにして、そこにいる若者とともに今ここにある世界と向き合うのである。映画を作り、映画を観ることとはそんなことではないか? だからこれを観た誰もが、自分もまだやれると思うだろう。まだまだいける。どんな酷いことがあったとしても、必ず道はある。私たちの人生に終わりはないのだ。

樋口泰人

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