「丁度いい映画」闇金ウシジマくん Part3 ナブラさんの映画レビュー(感想・評価)
丁度いい映画
公開日に観てきました。
今回は原作のフリーエージェントくん編を中心に話が展開します。ウシジマくん特有の追い詰められた人間が判断力を鈍らせ、どんどんドツボにハマっていく加速感の演出の旨さは長編シリーズなだけあって流石の一言。それが割と自分の身近にあるものだったりする為、あり得ないだろ…と切り捨てきれないところがこの作品のヒットの所以なのでしょう。観ていると精神を削られている気分になります。いい意味で。(笑)映画というフィルターを通しているだけで追体験しているのと変わりません。本郷くん演じる沢村のように何も持っていない者程、何かにすがり、現状を抜け出したくなってしまう。このキャラに共感できることもあり、かなり感情移入して観ていました。
今回、オリラジ藤森演じるリーマンと本郷くん演じる沢村は対比のように描かれている印象でした。二者とも借金もしているし、周りの人間を騙し、迷惑をかけてるのは変わりません。二者を分けたのはお金の使い道です。自己投資に回した沢村には一種の救いともいえる結末があり、浪費に回した藤森リーマンは全てを失ってしまいました。元々、何もなかった沢村とそれなりに幸せと言える立場にあった藤森リーマン。この二者の対比というのも本作の深さの一つと言えるでしょう。また、最後に沢村にウシジマがかけた言葉にも唸りました。映画の一番の面白さである価値観の転換になるようなセリフを本当にしつこくない薄味の演出で観せるこのシーンには脱帽です。
確かに、映画というより、2時間ドラマのスケールだと言われたら本当にそうなんですが、原作を損なわず、ここまで映画的な構成にまとめた今作は本当に一見の価値があります。DVDでと言わず、劇場での鑑賞をオススメします。