「廣木マジックで、ラブコメがドラマティックに変化」PとJK Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
廣木マジックで、ラブコメがドラマティックに変化
亀梨和也と土屋太鳳の共演による、PとJKのヒミツの"年の差婚"を描いたラブストーリー。
少女マンガの古典「おくさまは18歳」(1969)を原点とする典型ラブコメディの直系ともいえるが、"高校教師×女子高生"はあらゆる派生が作られてきたので、"制服フェチ"の要素を組み合わせてアップデートされているところに新味がある。制服職業男子に、そこはかとなく惹かれるヒト向きかも。
最近はラブストーリー映画の多い廣木隆一監督だが、決して専門ではない。昨年はNetflixで「火花」の総監督を務めているし、時代劇も社会派ドラマも撮る。むしろ日活ロマンポルノ出身だし、女性を美しく描くことに長けているともいえる。本気のラブシーンもなんなくこなせる。
本作は、本来ならドタバタなコメディ色を出してもいいところ、廣木監督は原作そのままではなく、ラブコメディ色を抑えぎみに、マジメなストーリーに仕上げているところに好感がもてる。結構、ドラマティックだ。主演2人のストレートな演技もブレがなく、作品を引き上げている。
亀梨和也は、普通のドラマ・映画も出ているが、どうしても「妖怪人間ベム」(2012)や「俺俺」(2013)などの印象が強く、加えてノーベル製菓の"SOURS"のカメの着ぐるみなど、イロモノのイメージが拭えないので、こういう仕上がりのほうがベターだ。おそらくジャニーズ的には、岡田准一・生田斗真・二宮和也に、作品オファーが回ってしまうだろうし。
あくまでも本作は、土屋太鳳という女優の"華"があっての企画ではある。実年齢差は亀梨(31歳)、土屋(22歳)でちょうどいい。たぶん年齢設定的に選ばれたであろう、亀梨和也にとっては、いい巡りあわせの作品だ。もっと演技を見てみたい俳優である。
(2017/3/25 /ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ)