「俳優の頑張りに支えられた感動作だが、標準レベル」チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5俳優の頑張りに支えられた感動作だが、標準レベル

2017年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

単純

幸せ

個人的には、"チアダンス"と"チアリーディング"は別物であるということを知ることになったのが収穫。

タイトルが内容そのものを語っている実話モノ。コピーライティング的には、「映画 ビリギャル」(2015)の、"学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話"や、"もしドラ"の「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(2011)にあやかったというべきか。

そこで商業的には、ビリギャルの有村架純、もしドラの前田敦子のノリで、広瀬すず主演となる。もちろんいま最も華がある女優で間違いないが、決してアイドル映画と侮るなかれ。

昨年の「ちはやふる」では、"競技かるた"を、「四月は君の嘘」では、"バイオリン演奏"を本格的にこなし、李相日監督の「怒り」ではオーディションで役を勝ち取り、渡辺謙や妻夫木聡ら大俳優たちを相手に日本アカデミー賞の優秀助演女優賞と、実に器用な女優である。

今回は、"全米制覇レベルのダンスシーン"を再現しなければならないわけだから、推して知るべし。作品と闘っている。加えて"福井弁"もポイントである。

福井県立福井商業高校の奇跡的な偉業なので、それなりに感動的である。しかし、よくよく考えるとチアダンスはチームの成果であり、個々人の設定に映画的なものはないのだろう。オリジナル脚本で創作されたエピソードは、ありきたりな"スポ根"展開で、大胆な演出に至っていないのが少し残念。

なので、ダンスシーン以外は安い学園ドラマの枠を超えられない。さらにダンスレッスンに時間を割かれたと思われるフシがある。とくに屋外撮影のロケハンは悪すぎる。天気もよくない。これは主演女優のスケジュールの多忙さゆえか。

つまるところ、本作は出演するひとりひとりの頑張りに支えられている。よくやった!とくに、中条あやみはチアダンス部部長という重要な役柄を演じ、準主演級である。ドコモのCMで、黄色い鳥"ポインコ"と出演している娘である。モデルの彼女は、広瀬すずとともに現役"Seventeenモデル"のWキャスティングということになる。今後も期待したい。

広瀬とは「ちはやふる」(2016)でも共演した真剣佑(まっけんゆう)が相手役を務める。千葉真一の息子だ。また東宝シンデレラで、TOHOシネマズの幕間ガールでお馴染みの山崎紘菜も出ている。また主題歌の「ひらり」を歌う歌姫・大原櫻子も女優だが、さすがにチアダンスまではブッキングできなかったか、チラ出演どまり。

(2017/3/11 /TOHOシネマズ日本橋 /シネスコ)

Naguy