「映画を愛する気持ちを大切に」映画よ、さようなら SHさんの映画レビュー(感想・評価)
映画を愛する気持ちを大切に
モノクロでほぼフィックスで構成される映像に、正直、眠気に襲われる。描かれる内容も、決して明るいものではないし、むしろ消えゆくものへのノスタルジー、つまり忍耐を要する映画。
最近は映画館も多いし、映画業界も盛況のように思うけれど、それは都市部の話なのかもしれない。田舎に帰ると3つあった映画館はもはや1つも残っていない。
古くて小さい劇場へ行くと、居心地の悪さを感じることも珍しくない。淘汰されるべくして消えゆくものであり、それを繰り返していまの映画が存在する。それを良しとするかどうか、人それぞれに思うところは違うだろうが、ノスタルジックになることだけがオマージュではないだろう。
ひとつの映画館が消えるという悲壮感を軸に、決して絶望という感情だけに縛られることなく、負の状況をも笑い過ごしてやろうという意志を強く感じられた作品。
動きが少ない映像が続くだけに、どうしても退屈になってしまうけれど、集中して絵を見ていると、笑ってしまうところが意外と多い。それがエンディングへとうまく繋がっていくわけで、サヨナラというものは決して別れだけを表す言葉ではないのだと、邦題タイトルを見返して思っているところ─。
わるくないけど、非常に疲れる映画。
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