「いい大人があまりに未成熟な男女関係」モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由 天秤座ルネッサンスさんの映画レビュー(感想・評価)
いい大人があまりに未成熟な男女関係
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男と女のことに、大人も子供も理性も知性も有り得ないのはわかっているし、こういうことを言うのは野暮だろうとは思うのだけれど、どうしても「いい年して未成熟な男女関係だなぁ」と感じてしまう。
本能的なまでに愛し合い憎しみ合い求め合う「愛」と言えば聞こえは良いけれども、登場人物にはまるで共感できないし、二人の関係を理解できる気にもならず、少しも惹かれない「愛とやら」の有様をただただ見せつけられる苦痛と不快感。
裏も表もサイテー男でしかない男と、愛して許す姿がただの馬鹿に見えてしまう女。いや、確かに、男女関係なんて客観的に見れば滑稽な戯れでしかなく、ただその渦中に在る当事者になると、途端に冷静な目を失って正しい(でも何を以て正しいとするんだろう?)判断がつかなくなるのはごくごく自然なことで、そういう様子を見ることは出来るとは思うのだけれど、それってでもせいぜい20代の男女でなら「盲目な恋」も様になるが、さすがに大の大人がもうちょっと思慮深くはなれないものか?と此方の目だけがひたすら冷静になっていく。こんなはた迷惑な夫婦・・・わざわざ映画にしなくていいから、何処か他所で勝手にやっててくれ、と思ってしまった。
不完全な男女が不完全な愛をぶつけ合う様って、映画としてはとても崇高で素晴らしいテーマだと思うけれど、この映画の男女に関しては、もうただただ「別れりゃいいじゃん」と思うだけだった。憎しみ合う気持ちは理解できても、求め合う気持ちはまったく理解できずに終わってしまった。交互に挿入されるリハビリのシーンの効果もイマイチ伝わらず。
私には、思い込みの強い独善的な映画としか思えなかった。
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