「【”想いを抱いた女のために青年が行った事。そして、哀しくも恐ろしき戦争によるPDSD。"エドガー・アラン・ポー原作の19世紀末の精神病院を舞台にした、捻りの効いたサスペンス・ミステリー。】」アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”想いを抱いた女のために青年が行った事。そして、哀しくも恐ろしき戦争によるPDSD。"エドガー・アラン・ポー原作の19世紀末の精神病院を舞台にした、捻りの効いたサスペンス・ミステリー。】
■1899年イギリス。
オックスフォード大の学生エドワード(ジム・スタージェス)は、精神科医としての実習を積むべく、辺境の地にあるストーンハースト精神病院を訪れる。
この病院ではサイラス・ラム院長(ベン・キングズレー)の下、患者も医師と一緒に食事をし、投薬もされず自由に生活していた。
◆感想<Caution! 思いっきり、内容に触れています。>
・今作には幾つもの捻りが仕掛けれている。詳細には記さないが最初の捻りは、サイラス・ラム院長の診療方法である。
今作でも言及されているが、当時の上流社会に属していた精神病患者は、今作のイライザ・グレーブス(ケイト・ベッキンセイル)のように夫の仕打ちに耐えられなくなり夫を傷つけたような夫人を”家の恥”として、精神病院に入れる事もあったそうである。
ー 更に言えば、当時の精神病院の治療方法は今作でも描かれているように、可なり酷いモノであった・・。
つまりは、本来の院長であったベンジャミン・ソルト(マイケル・ケイン)の治療方法に対し、”精神病患者”達が反発したのであろう。
そして、サイラス・ラム院長がベンジャミン・ソルト元院長に施した治療・・。シニカルである。-
・サイラス・ラムの哀しき過去も、彼らの秘密を知り囚われたエドワードが、ベンジャミン・ソルト元院長から教えられた彼の処方箋を読んだ事で、電気ショックを受ける前に”或る写真”を彼に見せた事で、ラムの自我が崩壊するシーンで明らかになる・・。
ー 戦争のPDSDの恐ろしさ・・。-
・一番驚いたのは、矢張り誠実で篤実な精神科医エドワードの本性が分かるラストであろう。イライザ・グレーブスの愚かしき夫と共にやって来た精神鑑定医(ブレンダン・グリーソン)の名前・・。
<今作は、ラスト、エドワードとイライザ・グレーブスがストーンハースト精神病院を抜け出し、別の精神病院で楽しそうに踊る姿も印象的な、捻りの効いたサスペンス・ミステリーである。>