スロウ・ウエストのレビュー・感想・評価
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たまたまレンタルして見たら…
とんでもない当たりでした。明らかに映画として傑作で、映画の神が降りてる的な側面もあります。日本版ポスターのデザインはまるで活劇調ですが、いわゆる短館系、アート系作品だと思った方が正しい。この監督のデビュー作だそうですが素晴らしい才能があります。別にアウトローのいきざまを描いてるわけでもないし、西部劇としてどうというより、映画そのものとしてパワーを持った作品でした!
一度見ただけでは全てが納得できない、音楽鑑賞に近いような風合いがあり、ハマった人は何度も繰り返し見て謎解きしてたりするみたいです。
砂埃のないヴィヴィッドな西部劇
簡単に死ぬのが西部の無情をあらわすのに貢献するとはいえ、やたら死ぬので、指名手配の意義が怪しい。いったい誰が訴え出て、誰に管理されているのだろうか。無法なのは解るが、狩人に狩人がいるなら同心円状に拡がるばかりで西部は無人である。映画にbrutallyを織り込みたいのは解るが、やや行き過ぎを感じた。
少年と青年の狭間のような男が、けっこう抜けた理由で横断しようとしている。そこはコミカルでもあって、生死のわからない旅路には見えない。かれが、西部の強欲とエゴイズムと命の軽さに晒されることによって、楽観が叩きのめされる。同時に観る者の安寧も失せる。
プロフェッショナルとアマチュアのコンビだが、互いが互いを利用しており、道中、多少変化するが友情とまではいかない。それは乾きすぎだと思う。乾いているのは構わないが、死にすぎるうえに、乾きもあるとなれば、ぱさぱさしてくる。
ただ、それらが妙に小綺麗な見映えで救われる。昔、中野翠だったと思うが、西部劇を見ていると、早く帰ってシャワー浴びたくなる──とか言っていたのを覚えているが、その埃っぽさを感じない西部劇である。なぜか解らないが、妙に小綺麗なのである。小綺麗というか、──妙にカラフル、強コントラストだった。
その空気感はニュージーランド撮影に因るものかも知れない。西部劇で生木のような新築を見たのは初めてである。木製の型からバターだか生地だか解らない旨そうな黄色がはみ出る描写を見たのも初めてである。インディアンとてマオリ族に見える。きりりとした眉のローズにもアメリカの気配がない。長編初監督らしいが迷いも見えない。暴力性が色彩と本末転倒な結末で楽しくなる、リバイバルでも習作でもない、新しい西部劇が、確かに感じられた。
最後のオチはなかなかのものです。
西部劇。
幼馴染の憧れの女性を追って、スコットランドから西部にやってきた若者と賞金稼ぎの二人旅と、その終着を描く。
最後のオチが見どころかな。
笑うべきなのか、泣くべきなのか。
女って怖いなーと思うべきなのか。
「坊やだからさ…」
恋人を追ってスコットランドから渡米して来た青年貴族ジェイ。荒くれ者に絡まれている所を賞金稼ぎのサイラスに助けられ、用心棒として雇い、旅を続ける…。
あらすじは王道、だけど何故か西部の地を踏んでいるのに、異国(つまり西部ではない)の雰囲気を感じる。
それもその筈、製作国はイギリスとニュージーランド。撮影地はニュージーランドなんだとか。
その雄大な映像美は見もの。
淡々とした語り口、時々シュール、呆気なく人が死ぬ不条理。
あくまで人間ドラマ主体の西部劇。
イギリス人なのに賞金稼ぎ役が似合うマイケル・ファスベンダー、最後の最後でようやくのガン・ファイトもさることながら、それ以上に、はるばる追ってきた恋人の衝撃の事実、そして世間知らずな一応主人公の青年の末路に、あの名作アニメの名キャラの名台詞が哀れに響いた。
サンダンス映画祭で絶賛されたらしいけど、やはり西部劇は、起承転結、勧善懲悪、ベタでもいいからメリハリあるエンターテイメントであって欲しいなぁ…。
ニュージーランドの西部劇
無法地帯のニュージーランドに、スコットランドからやってきた少年の目的は、愛する少女に出会うため。
トボトボと馬を連れて歩いていたところ、賞金稼ぎ(マイケル・ファスベンダー)が現れ、一緒に探してやるという。
少女には賞金がかけられており、多くの賞金稼ぎも集まっていた。
ドラマの進行上、無理やりな設定が目立ち、ラストで少女が最後まで伏し目がちなのは興ざめ。
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