「和製「セッション」………うん。」TAP THE LAST SHOW 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
和製「セッション」………うん。
「TAP THE LAST SHOW」見て参りました。あんまり興味なかったけど、見るものがなかったので鑑賞。こうかいしょにちの夜なのに観客は6人くらいだった…。本編の出来は、正直褒められたものではない。水谷豊の情熱はヒシヒシと感じたが、情熱と”映画を語る巧さ”はまったく別の話。今年公開の「SING」に似てますよね。
個人的に、水谷豊さんの演技は嘘臭くて嫌いです。そんな嘘臭い演技の水谷豊さんが監督する映画は、出演者みんな演技が嘘臭くなってる。最初のシーンで高速タップ選手権が開かれてバタバタと人が倒れてゆく。なんか、エイリアンに寄生された人間みたいな感じなんですよ。ブルブル震えながらぶっ倒れるみたいな。切迫感を乱すどころか、笑っちゃいました。はい。
ストーリーがとにかくひどい。
落ちぶれリーダーとワケあり若手のトレーニングモノとして、設定はありきたりだけど面白いと思う。しかし全くそれを生かせていない。あとストーリーもすごく雑ですよね。オーナーが倒れたから公演は中止!ってなったけど、すごくなんとなーく上演する流れになるんです。みんなで舞台の組み立てを手伝ってますけど、そんな節約だけで覆るわけがないでしょう。
水谷豊はひたすら酒を飲んでいる。劇映画史上屈指の飲兵衛だ。
そして若手の連中はみんなワケあり。こいつはホスト、こいつは彼女が妊娠、こいつはコミュニケーション障害?、こいつは喘息持ち。どの設定も出しっぱなしで、ストーリーに全く活きてきません。象徴的な設定が、マコトのライバル的立ち位置で招かれたジュン。この両者の関係は互いを高め合うライバルのはずなのに、出会ってから特に何も起きない。ただの仲良し。実は喘息持ちの人も、本番で喘息出ちゃってからの片付け方が意味不明。どういうことでしょう?ホストの人だっていつの間にか晴れやかな表情。
総じて、設定とか状況を順番に説明していってるだけです。そしてそれは出しっ放し。成長の糧だったり、逆境を跳ね返す力にもならない。
「セッション」と同じことがやりたかったのか知らないけど、この出来では足元にも及ばない劣化版ですね。私は、情熱よりも、面白い映画を見たかった。
良かったところ。ラスト24分の中のラスト5分の5強によるタップは素晴らしかった。ここの迫力は見る価値あり。このシーンで1800円中1670円くらいの価値があると思った。あとは水谷豊とマコトが実は親子だったって設定が、粋でした。感心。
まだ観ていませんが、やはりって思ってしまいました。きっと、水谷さんの昔から温めていた構想。
そして、セッションをご覧になった?かして、触発されたのかな?なんて、想像しちゃってました。
映画は、趣味レベルで作るなら全国上映はキツイ。水谷さんファンは大絶賛なんでしょうが。